9月26日に上陸した台風16号(現地名:Ondoy)はマニラ首都圏に豪雨をもたらした。雨量は降り始めからの6時間で341mm を記録、これは9月一月分の平均月間雨量391.7mmにも匹敵するものだった。これまでマニラで記録された豪雨は1967年6月の24時間で334mmだったので、今回の雨量は40年ぶりに、それを上回る記録的豪雨となった。
豪雨はマニラ各地に洪水をもたらした。特に、リサール州、マリキナ市、ケソン市、モンテルパ市などでの被害が報告されているが、今回の被害は、これらの地域に限られず、マニラ全域にわたる模様。
マニラの主要道路もことごとく冠水し、交通は麻痺した。また多くの地域で、停電、断水等が続出している。
26日、政府のレスキュー活動(国軍)は一部の地域を除いて出動できなかった。基地から災害エリアへと向かう交通手段が寸断されていたため、救援連絡を受けても出動できなかったとのことだ。アロヨ大統領はマニラ首都圏とルソン地域20州に緊急事態宣言を発令した。
筆者の家も一階部分が40cm浸水した。
浸水が始まったのが午前11時頃。
まず、念のために、1階にある電化製品のコンセントを抜き、一つずつ2階へ運び上げた。オーディオ関係のケーブルを外すのに手間取った。
その後、急激(15分くらいのうち)に水位が高くなり、プロパンガスのタンクがプカプカと浮かぶ。「危ないなー」と思いながら、タンクを高い位置へ移動。
12時頃、家の中は最高水位40cmに達した。
その後、雨が弱くなり、水も引いていったのだが、1時間ほどして再び雨が強くなった。今度は、ドアの隙間にビニール袋などを大量に詰めてシーリング。案外、これが役に立ち、水は浸入してきたがさっきほどではない。窓から覗くと、ドアの外は水位が30cmはある。この時点で、家の前の道路は激流となっている。
もう、できることはやったので、2階でテレビをつけながら、ネットで情報収集。まだ、ほとんど情報は発信されていない。それにしても、これだけの状況なのに、テレビではかまわずにABS-CBNはWowoweeを、GMAはEat Bulagaを放送している。どちらもお昼のエンターテインメント番組だ。これには、あきれたというよりも、怒りに近い感情を覚えた。
そして午後3時、停電。全ての情報から遮断され、何もすることなし。電池式のAMラジオと懐中電灯は必需品だとつくづく思う。
今日(27日)は筆者の住む地域は電気・ネットも復旧し、テレビ局も一転、朝から特別番組を組み、被災者への募金を呼びかけている。思うに昨日は、全ての道路が冠水し、テレビ局も移動手段がなかったのだろう(と好意的に解釈)。
台風16号での被害者は死者51人、不明者21人(27日11時時点)。ただし、まだ被害の全体像はつかめていない。
追記:その後の報道で降雨量は9時間で410.9mmと発表されました。例えば日本の平均年間雨量は1700mmですから、その4分の一の雨が9時間で降ったことになります。マニラ全域に410mm=41cmの水の層ができたということです。
【参考】(UPDATE 3) 'Ondoy' leaves dozens dead
Too much rain too soon