9月26日にフィリピンに上陸した台風16号(現地名:Ondoy)では、マニラ首都圏を中心に大規模な洪水が発生し、死者・不明者374人にのぼる甚大な被害を及ぼしたが、洪水から3週間が経つ10月17日、洪水後の危険な病気による被害が拡大している。
危険な病気の名前はレプトスピラ症(Leptospirosis)で、保健省(DOH)の報告によれば、10月17日の時点で感染者1027人、死者89人(致死率8.6%)が発生した。
レプトスピラ症は不衛生な水の経口あるいは皮膚の傷からの進入により感染する細菌感染症で、一般的にはネズミや家畜の尿に含まれる細菌が洪水による不衛生な水を介して体内に侵入することにより感染する。
レプトスピラ症は腎臓、肝臓を損傷し、発熱、発疹、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛、吐き気などの症状が出る。重症化すると死に至る。
潜伏期間は2〜20日間。抗生物質が有効であり、暴露期間中にドキシサイクリン200mgを週1回経口投与すると予防となる。
保健省によると、昨年のフィリピンでのレプトスピラ症の感染者総数は769人だったが、今回はすでにその数を大幅に上回っており、台風16号による洪水で、170万人が不衛生な水に晒されたと見積もると、統計的には3800人の感染が発生する心配があるという。
【参考】Leptospirosis still Ondoy’s doing, kills 89