これまでにキャンペーンビデオを放送した大統領候補は、一番早かったのがビラール上院議員、そして今日、ようやくエスクデロ上院議員、それから与党候補のテオドロ国防長官のCMも流された。
選挙CMはどれも農民、都市貧困層などの貧しい人たちの映像を流し、それを変えるために「教育、医療に力を入れます」みたいな主張をするのが一般的だ。そして、貧困層と共にある、頼れる候補であると視聴者に印象づける。今年はそれに台風16号(オンドイ)・17号(ぺペン)の被災者の映像を多用している。これがフィリピンの選挙CMの基本パターンで、どの候補も多少の違いはあるものの、こんな感じだ。
そうした中、ノイノイ・アキノのキャンペーンビデオがちょっと凄い。
国民的歌手レジーン・ベラスケスの歌声をBGMに、暗闇の中、火の灯された松明を持つ人々が一つの場所を目指して歩き、その間にも人から人の間に松明の火が広げられゆき、みんなが目的地に集まったところで夜明けを迎えるというイメージビデオである。
それぞれの人の集まりの中にフィリピンを代表する芸能人たちが出演していて、一例を挙げるだけでもクリス・アキノ、シャロン・クネタ、ボーイ・アブンダ、アン・カーティス、ベア・アロンソ、ビアンカ・ゴンザレス、ディンドン・ダンテス、マリアン・リベラ、アイアイ・デ・ラス・アラス、オギー・アルカシッドなどである。つまり、ABS-CBNとGMAネットワークの双方から歌手、女優、俳優、TVホスト、コメディアンなどが出演しているのだ。
こうしたイメージビデオはこれまでも、テレビ局そのもののイメージビデオとして芸能人総出演で作成されることはあったにしても、特定候補の選挙キャンペーンビデオとしては初めてだろう。ただでさえ、支持率60%で独走状態にあるノイノイ・アキノ上院議員だが、この3分30秒にもわたるイメージビデオは他の候補に余裕を見せつけたというか、圧倒的な支持力の差を見せつけたとも言える。
イメージビデオのタイトルである「Hindi Ka Nag Iisa」は暗殺されたニノイ・アキノ元上院議員の残したフレーズでYou are not alone(君は1人じゃない)という意味。