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フィリピン英会話ネット
2010年03月30日

フィリピン大統領選挙 世論調査(3月)

5月10日に行われるフィリピン大統領選挙に関して、3月19日から22日にかけてSWS(Social Weather Station)によって行われた最新の世論調査によると、アキノ候補の支持率が37%(前回36%)、ビリヤール候補の支持率が28%(前回34%)となり、9%の差がついた。

フィリピン大統領選挙 世論調査


前回の世論調査(2月末)ではアキノ候補とビリヤール候補の支持率が2%の差と拮抗していたことから考えると、アキノ派による激しい巻き返しが起きているといえる。これは全ての支持層でビリヤール候補への支持率が大きく下落したことに起因する。現在、フィリピンでは台頭してきたビリヤール人気に対して激しいブラック・プロパガンダが行われており、アキノ陣営はビリヤール人気を如何にして挫くかに躍起だ。

ビリヤール陣営の選挙戦略


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マニュエル・ビリヤールJr上院議員 (Manuel Villar Jr.)

一方、ビリヤール陣営は、先回までに説明したように、マルコス元大統領の息子ボンボン・マルコス、共産主義政党バヤンムナのオカンポ候補、さらには国軍反乱勢力の首謀者として軍法会議に掛けられているフィリピン海兵隊アリエル・ケルビン大佐(Ariel Querubin)を上院統一候補として極右から極左までを抱き込んだ選挙活動を行うとともに、国民的英雄であるボクシング世界チャンピオン(7冠)のマニー・パッキャオ(Manny Pacquiao)とも連合を組み、現政権に対する「真の反対派」(Tunay na Opposition)として、無尽蔵の資金力にものを言わせテレビCMを打っている。

アキノ陣営の選挙戦略


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ベニグノ・アキノ上院議員(Benigno Aquino III)

一方、アキノ候補は、上院議員時代から影が薄い存在だったものの、昨年8月のコラソン・アキノ元大統領の逝去によって突然担ぎ出された存在だ。そのため、アキノ候補自体のキャラクターは薄く、唯一「清廉潔白な候補」であることを売りすると同時に、出身であるコファンコ財閥と、フィリピン最大のテレビ局ABS-CBNを抱えるロペス財閥の全面的支持を得て選挙を戦っている。最近のビリヤール候補の急伸に危機感を覚えたか、ABS-CBNではこのホーリーウィークに3夜連続でアキノ元大統領の活躍にスポットを当てたテレビ番組が放送される予定だ。

候補者別支持率


ベニグノ・アキノ上院議員(Benigno Aquino III) 37%
マニュエル・ビリヤールJr上院議員 (Manuel Villar Jr.) 28%
ジョセフ・エストラーダ元大統領 (Joseph Estrada ) 19%
ギルバート・テオドロJr前国防相  (Gilberto Teodoro, Jr.) 6% 

今後の行方


アキノ候補は見るからに良家のご子息であり、強いカリスマやリーダーシップは持ち合わせていない。しかし、清廉潔白、民主主義、平和の象徴として落ち着いた雰囲気を持っている。フィリピンの財閥系有力層や知識人階層、そして汚職に飽き飽きした大衆層はアキノ候補を支持している。一方、ビリヤール候補は貧困地域出身でありながら一代で財を成したやり手である。閉塞したフィリピン社会の中で「何かやってくれる」という変化へ向けた期待を抱かせる候補ではある。但し、その手腕をフィリピンの発展に活かすよりは、自らの資産拡大へ用いるのではないかとの不安も拭い去れない。その上、ビリヤール候補とエストラーダ候補のイメージおよび支持層は重なっている。今回の世論調査でのエストラーダ候補の支持率は19%と再び上昇しており、ビリヤール候補とエストラーダ候補の支持率を足せば47%とダントツになる。すでに、ビリヤール候補の側からエストラーダ候補へ協力要請が行われているとの噂もあるが、あと、1ヶ月少しとなった選挙戦。まだ、誰が勝利するのかはわからない。

【参考】Aquino leads Villar by 9 pts in new poll
posted by philnews at 20:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピン大統領選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月19日

ノイノイとビリヤールが拮抗 フィリピン大統領選挙

フィリピン大統領選挙についてSWS(Social Weather Station) が3月11日に発表した世論調査(2月24-28日実施)ではベニグノ・アキノ3世上院議員(36%)とマニュエル・ビリヤールJr上院議員(34%)の支持率が拮抗した。アキノ候補は先月と比べて6%支持率を減らし、ビリアール候補は1%支持率を減らした。一方、エストラーダ候補とテオドロ候補は2%づつ支持率を増やした。この結果、アキノ候補とビリアール候補の支持率の差は先月の7%から2%に縮まり、誤差の範囲に収まった。

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ノイノイ・アキノVSビリヤール

各候補者の支持率は以下の通り。

候補者別支持率


ベニグノ・アキノ上院議員(Benigno Aquino III) 36%
マニュエル・ビリヤールJr上院議員 (Manuel Villar Jr.)34%
ジョセフ・エストラーダ元大統領 (Joseph Estrada )15%
ギルバート・テオドロJr前国防相 (Gilberto Teodoro, Jr.)6% 
エドゥアルド・ビリアヌエバ(Eduardo Villanueva )3%
リチャード・ゴードン( Richard Gordon )2%
ベテリアーノ・アコスタ(Vetellano Acosta )0.4%
ジーザス・ニカノール・ペルラス(Jesus Nicanor Perlas) 0.2%
ジョン・カルロス・デ・ロス・レイエス(John Carlos De Los Reyes) 0.1%
ジャンビー・マドリガル(Jamby Madrigal) 0.1%

地方別支持率


地方別の支持率ではルソン地方を除いてアキノ候補の支持が高く、ビリアール候補はルソン地方での支持率が高かった。また、メトロマニラではエストラーダ候補が健闘している。

メトロマニラ:アキノ42%、エストラーダ23%、ビリヤール 20%、テオドロ4%
ルソン:ビリヤール37%、アキノ33%、 エストラーダ 13%、テオドロ 6%
ビサヤ:アキノ 42%、ビリヤール37%、エストラーダ8%、テオドロ 6%
ミンダナオ:アキノ35%、 ビリヤール 33%、エストラーダ20%、テオドロ6%

社会階層別支持率


社会階層別の支持率では、人口の10%を占める上・中流階層(Class ABC)と人口の15%を占める最貧困層でビリヤール候補の支持率がトップとなったものの、人口の75%を占める大衆層(Class D)ではアキノ候補が引き続きトップだった。

上・中流階層
ビリヤール 33%
アキノ 30%
エストラーダ 14%
テオドロ 7%

大衆層
アキノ 38%
ビリヤール 34%
エストラーダ 13%
テオドロ 6%

最貧困層
ビリヤール 34%
アキノ 32%
エストラーダ 21%
テオドロ 5%

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12月から2月までの候補者別支持率の推移

SWSによるフィリピン大統領選挙の世論調査では、昨年12月初旬に行われた調査時にはアキノ候補が46%、ビリヤール候補が27%、エストラーダ候補が16%と、アキノ候補のリードが鮮明であったものの、時間を経る毎にアキノ候補の支持率が下がり、ビリヤール候補の支持率が上がってきたという傾向がある。

これはアキノ候補の人気は昨年8月のコラソン・アキノ元大統領の逝去により突然沸き起こったものであったため、時間とともにその熱が醒めてきたこと、および、ビリヤール候補の資金力にモノを言わせた選挙戦略が浸透してきたことが主たる要因だろう。ビリヤール候補は左は共産主義政党・バヤンムナ(Bayan Muna)から、右はマルコス元大統領の息子・ボンボン・マルコスまで巻き込み、反アロヨの旗印を鮮明にして選挙戦を戦っている。

5月10日の投票日まで2ヶ月を切った今、ここから途中下車する候補の票を誰が獲得するかで態勢は決するものと思われる。

【出典】Social Weather Station
posted by philnews at 14:11 | Comment(1) | TrackBack(1) | フィリピン大統領選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月18日

デノミ失敗で処刑

経済政策(デノミ)の失敗で処刑って、どこの話だ?と思ったら北朝鮮か・・・
<北朝鮮>デノミ失敗で責任者処刑か
聯合ニュースは18日、北朝鮮が昨年実施したデノミネーション(貨幣呼称単位の変更)の実務責任者だった朝鮮労働党の朴南基(パク・ナムギ)前党財政計画部長(76)が先週、責任を問われて処刑されたと報じた。複数の消息筋の話として伝えた。朴前部長はデノミ失敗で朝鮮労働党から解任されていた。

報道によると、朴前部長は平壌・順安区域の射撃場で銃殺されたという。貨幣改革の失敗で民心が悪化し、金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継体制作りにも悪影響が出たため、反革命分子として処刑したという消息筋の話を伝えた。

北朝鮮は昨年11月末、旧貨幣100ウォンを新貨幣1ウォンとするデノミを実施。インフレ抑制や計画経済への回帰を狙ったとみられるが、逆に物価暴騰や流通の停滞を招いた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100318-00000031-mai-int


そもそも、デノミなんて通貨単位を変更するだけだから、インフレ抑制に効果があるわけない。どこかの国みたいに1ドル=10億通貨単位みたいな天文学的な数字になっているときには計算が面倒になるから、それを改善するためには良いだろうけど。

しかし、もちろん北朝鮮でのデノミ政策は通貨単位の変更に目的があったわけじゃない。一人当たりの旧通貨から新通貨への換金上限を10-15万ウォンに制限することにより、それ以上の資産を溜め込んでいる国民を再び「平等」に貧しくすることに目的があった。そもそも、統制経済ではまともな生活が営めなくなっている国だから、みんな闇市場での取引でなんとかしのいでいる。そうした闇市場(=市場経済)を潰すことが北朝鮮のデノミ政策の主目的だったわけだ。

でも、ちょっと考えてみればわかるけど、闇市場(=市場経済)の存在は、もう立ち行かなくなっている統制経済を補完するものとして必然的に登場してきたものだ。これを潰したところで、残るのは「生きていけない統制経済」だけとなる。だから、闇市場つぶしのためのデノミは記事にあるとおりのインフレや流通の停滞という経済の混乱を招くだけで終わった。その責任をとらされて処刑されたのが、今回の前党財政計画部長である。

うん、一言、むちゃくちゃな話でんなあ・・・・

問題の根源は統制経済の側にあるんだから、むしろ統制経済撤廃のための経済政策を推し進めてしまえば良いのに。だけど、そんなことしたらしたで、また処刑されるのが目に見えてるんだけどね。

posted by philnews at 14:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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