コラソン・アキノ元大統領(76歳)は86年のエドサ革命で第11代大統領となり92年まで任期を務めた、フィリピン初の女性大統領である。83年に暗殺されたアキノ元上院議員の妻であったことが彼女を大統領へと導いた。
しかし、在任中は度重なる国軍改革派による軍事クーデターや90年のルソン島大地震、91年のピナツボ火山の噴火に見舞われるなど、決して恵まれた環境ではなかった。特に、復活した旧既得権層、そして彼女を支持した左派・民主勢力の狭間に立たされ思うような政権運営はできなかったと言われている。
旗印だった農地改革も期待されたほどには進展しなかった。彼女自身がフィリピン有数の大地主であり、財閥でもあるコファンコ家出身であることが農地改革を後退させたとして左派から批判を浴びた。経済的には国有企業の民営化や規制緩和など自由化政策を進めたが、それが軌道に乗り、フィリピン経済が発展を始めるのは彼女の退任後のラモス政権からである。
政界引退後も前エストラーダ大統領を引き摺り下ろしたエドサ2で積極的に活動するなど、自由、民主主義、平和、そして男女平等の象徴として一定の影響力を持ち続けた。
最近の政治的発言としては2008年12月、エストラーダ前大統領に対し「2001年の行動(エストラーダを退陣させたこと)は誤りでした。私たちみんなが間違えたのです。許してください」と謝罪し、アロヨ大統領の退任を求めたものが有名である。
子息に上院議員ベニグノ・アキノ3世(49歳)や有名女優クリス・アキノ(38歳)がいる。
追記:8月1日
アキノ元大統領が亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします。

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ありがとうございました。
現在、アキノ元大統領は危篤状態にあり、連日こちらのTVニュースで取りあげられておりますので、この記事を書きました。