10年度はマイナス予算も選択肢=景気対策からの脱却視野−民主政調副会長
民主党の大塚耕平政調副会長は8日、インタビューに応じ、2010年度予算編成で財政出動を伴う景気対策からの脱却を検討する考えを明らかにした。「予算規模を圧縮するという選択肢も念頭に置く」としており、経済状況を踏まえながら前年度当初予算比でマイナスとなる可能性もあるという。マイナス予算は、財政再建を掲げた小泉政権下で2回編成されているが、国の一般会計は社会保障費が毎年増大しており、減額は容易でない。一方、金融政策運営について大塚氏は、日銀の判断を尊重する考えを強調。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009090900042
民主党の大塚耕平政調副会長が「マイナス予算による財政再建」と「金融政策の日銀任せ」による「景気対策からの脱却」の可能性を示唆した。
国の経済を不況から脱却させるために、政府の持つ方法は財政支出と金融緩和の2つが中心的な手段だ。今回、この2つを用いず、むしろ、マイナス予算という不況を加速化させる方法を選択する可能性に言及したのは見逃せない。
不況下で個人にとって最適な行動は、支出を減らし、貯蓄を増やすことであり、企業にとっても、投資を抑制し、人員を削減することがより有利な戦略となる。しかし、個人や企業がそれぞれにとって最適な戦略をとると、それだけ不況は深刻かつ長期化し、ますます全体が貧しくなるという「合成の誤謬」が起こることが知られている。
この不況を唯一脱却させられるのが政府である。政府は財政赤字を抱えてでも個人や企業の代わりに支出を行い、また、金融緩和により、金利を下げ、マネーを市場に供給する。これが一般的な不況脱出の方法だ。この権限は中央政府以外持っていない。だから、政府は不況を終わらせられる、ただ、唯一の主体なのだ。
しかし、今回の民主党・大塚議員の発言は、財政再建へ向けてマイナス予算を組み、金融政策は日銀任せという、明らかに不況をより深刻かつ長期化させる政策を示唆するものだった。小泉政権下の2001年と2002年に行われた「財政支出の削減」は、回復に向かっていたように見えた経済を再び落ち込ませ、持続的な株価下落を招いた。そこで、あわてて2003年になってりそな銀行救済という、象徴的な方針転換を行ったのだ。
少し調べてみたところ、この大塚耕平議員は早稲田大学で経済学を専攻し、博士号を持つ日銀出身の議員らしい。民主党のマニフェスト、経済政策を作成した中心人物ということだ。経済学の素人どころか、プロ中のプロということになる。プロとは言っても、これまでずっと批判してきた財政再建派の与謝野大臣や、日本の長期不況を悪化させた竹中元大臣(経済学者)、それに、できることをやらない日本銀行などもみんなプロ中のプロだ。こうした専門家たちが揃いもそろって、間違えた政策を実施し、その結果、日本を長期不況に追い込んでいることの罪は重い。
マイナス予算で財政再建、金融政策は日銀任せなんてことを本当にやれば、本当に、本当に、日本は不況から抜け出せなくなって、企業は倒産し、街は失業者で溢れかえり、社会保障費が増大し、それこそ財政破綻を早めることになるのだが、民主党はわかっているのだろうか?小泉政権がやったように、また、回復しかけた経済をどん底に落ち込ませ、その後、あわてて方針転換という、いつか来た道を繰り返すのだろうか?

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