赤字国債発行へ=税収減不可避、10年度予算編成−政府方針
政府は5日、2010年度予算編成に関し、歳入不足を補うため、赤字国債を増発する方針を固めた。10年度税収は09年度当初見通しの約46兆円を割り込むのは確実で、政府は40兆円を下回る可能性もあるとみて、不足分は赤字国債で賄わざるを得ないと判断した。
鳩山由紀夫首相は就任前から、一貫して国債増発を否定してきた。しかし、昨年秋からの景気低迷で法人税や所得税などの税収が大きく落ち込み、09年度税 収見通しは下方修正が避けられない情勢。首相は10年度予算編成に当たり、厳しい現実に直面して路線変更を迫られた形だ。
2009年10月6日 時事通信
民主党は選挙戦の最中、国債増発はしないことを約束してきただけに、今回の赤字国債発行は大きな方針転換ともいえる。
しかし、ここでウルトラCの経済政策を考えてみた。
そもそもGDPとは
GDP=消費+投資+政府支出+輸出−輸入 の式で表現される。
現在、不況とデフレにより消費と投資が減少していることが一番の問題である。そこで、本来は政府支出の増大は、景気の底割れを防ぐために必要な措置なのだ。
民主党はこれまで「赤字国債は発行しない」、つまり、政府支出を増大させないことを約束していたのだが、これは、実は経済にとってマイナスだった。小泉政権発足当初、国債発行額を30兆円に制限したことが、2003年まで続く経済の悪化を招いたことは記憶に新しい。それが民主党の政策は政府支出を増大させざるを得ないことがわかった時点で、実は経済にとってプラスである。
つぎに、財源だが、民主党は「政府の無駄を省くこと」により対応すると言っていたのがダメになった。どうやら、民主党の政策に必要とされるほどの無駄は見つからなかったのだろう。そこで赤字国債の発行となるわけだ。
もし、赤字国債を市場で売却したならば、市場金利を高めることになるので経済にとってマイナスである。そこで、この赤字国債を、是非、日銀に引き受けてもらいたい。政府が発行する国債を日銀が引き受けるとどうなるかというと、政府は財政支出を増大させることにより経済の底割れを防ぐことが出来る上に、政府支出分のマネーがそのまま日銀から市場へ供給されることになるから、これは金融の大幅な量的緩和の効果を持つのだ。
つまり、民主党が政策実施に必要とする財源を、国債発行で賄い、これを日銀に引き受けさせたなら、なんと、民主党は期せずして、世界恐慌により混乱する日本経済をデフレから世界最速で脱出させた高橋是清が行ったのと同じ、高橋財政を実施することになるのである。
これには必然的にデフレをインフレに転換させ、経済成長を促してしまうという副作用がある。そう、この副作用こそが、今の不況でデフレの日本経済にとって一番必要とされていることなのだ。
藤井財務大臣は就任演説で「尊敬する人物は高橋是清です」と発言しているので、この高橋財政を是非、実現してもらえないものだろうか?

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政権交代したばかりで不安定な日本が信頼を大きく失うとインフレのスピードがどれほどのものになるか予想できません。
コメントありがとうございます。
どうしてたれぱんさんは、国債の日銀買取を不健全極まりないと思われましたか?今回の金融危機ではアメリカもイギリスも行った手法です。なにしろ、高橋財政でその有効性が証明されましたから。
もちろん、インフレが数%(上限)に達したところで、量的緩和から金融引き締めに転じる必要はあります。これについては、アメリカも、イギリスも、中央銀行のルールの中に明記してあり、インフレ率を一定のレンジに収めるためには「何でもやる」ことが決められているのです。先進国で、このルールを採用していないのは、今や日本だけなのです。
それから、インフレのスピードが制御不能になるとのことですが、日銀による金融引き締めはバブル経済さえ弾けさせるほどに有効だったのですから、心配する必要はないと思いますよ。
私は基本的にブログ主様のお考えに賛成です。
>もし、赤字国債を市場で売却したならば、市場金利を高めることになるので
私は経済のことはほとんどだめなのですが、ここだけちょっとわかりません。数日前テレビで国債金利が下がったようなニュースをやっていた気がするのですが(ソースはなしです)。不況のせいか運用先としてマネーが国債にさらに集中している傾向のようです。
一つ大きな問題点として、国債発行自体が非常に悪いこととされている風潮があると思います。国内で起債できる分には別に目くじらを立てる必要はないと思います。民主党は自分自身が国債発行を非難して来たので自業自得というのもありますが。
それと仮に民主政権での国債発行が功を奏したとしても、メディアは「民主党が無駄を省いたから経済がよくなった」とやりそうで。。。
こんにちは。民主党赤字発行に傾いているようで、早速橋下知事から批判されています。私自身は、赤字国債発行は、反対ではありません。しかし、民主党は野党の時代に「赤字国債をすれば、財政破綻をきたし、子々孫々にまで借金を増やす」などの妄言を発して自民党攻撃をするのみならず、多くの国民を惑わしました。実際には、あの程度や、あの5倍くらい赤字国債を刷ったからといって、すぐに財政破綻をきたしたり、国民の借金が増えるなどということはありません。これに関しては、私のブログには数字的裏づけも掲載してあります。このようなこと、ほかにもたくさん出てくると思います。それに、民主党は、順番をたがえるとことが多すぎです。このままだと、民主党は、ブーメラン効果によって八つ裂きにされるかもしれません。詳細は、是非私のブログをご覧になってください。
コメントありがとうございました。
国債発行が金利を上昇させる仕組みとしては、市場では資金を必要とする企業などが資金を集めるために社債を発行したり、銀行から借り入れたりしますが、この「限られた資金量」しかない市場から国債が資金を吸収してしまえば、企業はより高い金利を提示して社債を発行したり、銀行から借り入れる必要が出てきます。つまり、資金の需要と供給のメカニズムです。この現象はクラウディングアウトとして知られていますので、詳しくはWikipediaのクラウディングアウトの項などが参考になるかと思います。
但し、おっしゃるとおり、ゼロ金利で、そもそも資金がダブついているようなときには、国債発行による金利上昇が起こらない可能性があります。これはケインズが描いた「流動性の罠」に陥っている経済では、国債を発行しても、金利上昇が起こらないため、金融政策よりも財政政策の方が有効であるという話につながります。
今現在の日本経済の状況だと、むしろ、この財政政策の方が有効である可能性は大いにあるかもしれません。
だからこそ、私は「財政政策の資金を日銀が供給する」という、財政支出と金融緩和の効果が両方得られる高橋財政が有効なのではないかと思うわけです。
コメントありがとうございました。
ブログも拝見させていただきました。大変ためになるエントリーだと思いました。
日本では計算方法の違いから、政府債務の大きさが実際以上に大きくとりあげられ、それが政府支出を中途半端な規模に抑えてきたということがあると思います。
中途半端な経済対策に終始し、景気回復を実現できなければ、むしろ国の財政を悪化させるでしょうね。