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フィリピン英会話ネット
2009年10月09日

マニラ大洪水 人災の可能性


9月26日にフィリピンへ上陸した台風16号は、マニラ首都圏および周辺地域に豪雨をもたらし、甚大な被害を及ぼしたことについては、このブログの中で伝えてきた。また、マニラの洪水防止対策については、これまで日本政府が力を入れてきた援助分野であったことも伝えた。

今回は、この日本政府による洪水対策について、信じられないニュースである。

10億ペソの洪水警報システム 無駄に終わる(ABS-CBN News)

公共事業省(DPWH)からメトロマニラ開発庁(MMDA)への移管に伴い、高価な洪水警報システムが使われずに放置されてきたことがわかった。運用されていれば、警報システムは台風16号によってもたらされたマニラ首都圏の洪水被害を軽減していた可能性がある。

ABS-CBNの取材によると、洪水警報システムは日本政府からの11億ペソ(22億円)相当の援助によるもので、これが単なる無視、軽視により運用されていなかった。

プロジェクトの初期のスタッフは、パッシグ、マリキナ、ラグナ湖周辺での洪水を軽減し、犠牲者を最小限に食い止められたかもしれないこのシステムの運用中止は、MMDA長官バヤニ・フェルナンド(Bayani Fernando)によるものだと語った。

マニラ首都圏洪水警報システムは効果的洪水調整運用システム(Effective Flood Control Operation System :EFCOS)として公共事業省の事業として実施された。プロジェクトはパッシグ、マリキナ、ラグナ湖周辺地域の洪水の効果的な調整を目的として、マニラ首都圏洪水防止計画の2本柱のひとつとして実施された。マンガハン放水路とナピンダン水門の建設である。これには雨量測定所と水量観測所の設置、およびネットワークの中心的役割を果たすロザリオ中央コントロールステーションの建設も含まれていた。

EFCOSは2つのフェーズからなり、第一フェーズは1992年に完了し、日本から6億ペソの借款が行われた。アンチポロ市とモンタルバン町の雨量測定所および9つの水位観測所がロザリオ水門とともに設置された。雨量測定所と水位観測所のデータはロザリオ中央コントロールステーションに送られるようになっていた。

データに基づいて、監督官庁がパッシグ川水系の水位上昇に関する情報を得ることが出来、警告することができるようになっていた。また、システムはロザリオ水門の開閉を通じて、水をラグナ湖に流し込むか、マンガハン放水路へ流すかを判断する情報も提供するものだった。マンガハン放水路はマリキナ川下流およびパッシグ川の洪水を軽減するようにデザインされていた。

第2フェーズは日本の国際協力機構(JICA)からの総額5億ペソの無償援助により2001年に完了した。このフェーズではアンチポロ市、リサール州、サンマテオ町、ケソン市、パッシグ市にそれぞれ雨量測定所を設け、水位観測所も増設し、マニラ首都圏の各自治体に通信システムを設置、情報伝達を改善する事業が行われた。マンガハン放水路には遠隔操作できる9つの警報塔が設置され、周辺住民への警報を行えるようになっていた。

DPWH関係者によれば、EFCOSプロジェクトは2002年にMMDAに移管された。これはフェルナンドMMDA長官自身が大統領に掛け合って実現したものである。EFCOSの全職員もMMDAへ異動した。

しかし、2006年からはEFCOSはデータ収集も情報伝達も中止している。そして2008年5月には予算不足を理由に運転が全面停止された。関係者によると、これはフェルナンド長官により、システムの維持・管理コストが成果に見合わないと判断されたためだという。このため、全ての洪水警報設備が機能しないこととなった。

MMDAの技術部長は現在でもいくつかの雨量測定所および水位観測所は稼動中だと語った。しかし、いくつかの設備は予算が支出できないため維持管理されていないと認めた。

水位観測所の修繕のためには日本製の部品が必要で、一基50万ペソ(100万円)必要だが、これは現実的ではないと語った。部長によるとEFCOSの設備はすでに旧式のものなので、修繕を行っても得られる利益は小さいだろうと語った。

しかし、DPWHの水利技術者は「雨量測定所と水位監視所から送られてくるデータは、橋のデザインや洪水防止のためには必要不可欠なものである」と語った。フィリピン気象庁の関係者は「ロザリオ中央事務所から送られてくる雨量計と水位計のデータは、洪水警報発令のための基礎データとなり、災害軽減に役立つものだ」と述べた。しかし彼女によると、気象庁はここ数年、EFCOSプロジェクトからの情報提供を得られていないと付け加えた。

【出典】P1-B flood warning system wasted due to neglect

まさか、日本政府によるマニラ首都圏洪水対策事業の中でも中心的存在の一つだった洪水警報システムが、フィリピン政府自身の手によって運用中止されていたとは思いませんでした(関係者の方はご存知だったのでしょうか?)。

これは、あきれる、怒りを通り越して、どう表現すれば良いのでしょう?

さて、9月28日の台風16号 日本の新聞報道比較の中で「日本人の被災情報を大使館も把握していないのではないか?」という論旨のことを書きましたが、ネットを見ていると、日本人の中にも大変な被災をされた方がいることがわかりました。

台風ONDOYがもたらしたもの

政府の責任者がしっかりしていないと、せっかくのシステムさえ身を守ってくれない。これは日本でも、フィリピンでも同じなのでしょう。今回のマニラの大洪水に関しては、専門家の方による詳細な原因調査と再発防止策が検討されることを望みます。
posted by philnews at 23:32 | Comment(0) | TrackBack(2) | フィリピン台風・洪水 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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