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2009年10月16日

民主党の経済政策の問題点


これまでこのブログの中で、民主党の経済政策に対する論評を何度か行って来たので、今回は、その全体像をまとめておく。まとめにあたっては、その基準が明確であるように、民主党の経済政策についてのマニフェストを参照しておきたい。以下は民主党マニフェスト2009雇用・経済の全文である。

民主党 マニフェスト2009 雇用・経済


5雇用・経済

35.中小企業向けの減税を実施する
【政策目的】
○中小企業やその経営者を支援することで、経済の基盤を強化する。
【具体策】
○中小企業向けの法人税率を現在の18%から11%に引き下げる。
○いわゆる「1人オーナー会社(特殊支配同族会社)」の役員給与に対する損金不算入措置は廃止する。
【所要額】
2500億円程度

36.中小企業憲章の制定など、中小企業を総合的に支援する
【政策目的】
○わが国経済の基盤である中小企業の活性化を図るため、政府全体で中小企業対策に全力で取り組む。
【具体策】
○「次世代の人材育成」「公正な市場環境整備」「中小企業金融の円滑化」などを内容とする「中小企業憲章」を制定する。
○最低賃金引き上げを円滑に実施するため、中小企業への支援を行う。
○「中小企業いじめ防止法」を制定し、大企業による不当な値引きや押しつけ販売、サービスの強要など不公正な取引を禁止する。
○貸し渋り・貸しはがし対策を講じるとともに、使い勝手の良い「特別信用保証」を復活させる。
○政府系金融機関の中小企業に対する融資について、個人保証を撤廃する。
○自殺の大きな要因ともなっている連帯保証人制度について、廃止を含め、あり方を検討する。
○金融機関に対して地域への寄与度や中小企業に対する融資状況などの公開を義務付ける「地域金融円滑化法」を制定する。
○公正取引委員会の機能強化・体制充実により公正な市場環境を整備する。
○中小企業の技術開発を促進する制度の導入など総合的な起業支援策を講じることによって、「100万社起業」を目指す。

37.月額10万円の手当つき職業訓練制度により、求職者を支援する
【政策目的】
○雇用保険と生活保護の間に「第2のセーフティネット」を創設する。
○期間中に手当を支給することで、職業訓練を受けやすくする。
【具体策】
○失業給付の切れた人、雇用保険の対象外である非正規労働者、自営業を廃業した人を対象に、職業能力訓練を受けた日数に応じて「能力開発手当」を支給する。
【所要額】
5000億円程度

38.雇用保険を全ての労働者に適用する
【政策目的】
○セーフティネットを強化して、国民の安心感を高める。
○雇用保険の財政基盤を強化するとともに、雇用形態の多様化に対応する。
【具体策】
○全ての労働者を雇用保険の被保険者とする。
○雇用保険における国庫負担を、法律の本則である1/4に戻す。
○失業後1年の間は、在職中と同程度の保険料負担で医療保険に加入できるようにする。
【所要額】
3000億円程度

39.製造現場への派遣を原則禁止するなど、派遣労働者の雇用の安定を図る
【政策目的】
○雇用にかかわる行き過ぎた規制緩和を適正化し、労働者の生活の安定を図る。
○日本の労働力の質を高め、技術や技能の継承を容易にすることで、将来の国力を維持する。
【具体策】
○原則として製造現場への派遣を禁止する(新たな専門職制度を設ける)。
○専門業務以外の派遣労働者は常用雇用として、派遣労働者の雇用の安定を図る。
○2ヵ月以下の雇用契約については、労働者派遣を禁止する。「日雇い派遣」「スポット派遣」も原則禁止とする。
○派遣労働者と派遣先労働者の均等待遇原則を確立する。
○期間制限を超えて派遣労働者を受け入れている場合などに、派遣労働者が派遣先に直接雇用を通告できる「直接雇用みなし制度」を創設する。

40.最低賃金を引き上げる
【政策目的】
○まじめに働いている人が生計を立てられるようにし、ワーキングプアからの脱却を支援する。
【具体策】
○貧困の実態調査を行い、対策を講じる。
○最低賃金の原則を「労働者とその家族を支える生計費」とする。
○全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800円を想定)する。
○景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1000円を目指す。
○中小企業における円滑な実施を図るための財政上・金融上の措置を実施する。
【所要額】
2200億円程度

41.ワークライフバランスと均等待遇を実現する
【政策目的】
○全ての労働者が1人ひとりの意識やニーズに応じて、やりがいのある仕事と充実した生活を調和させることのできる「ワークライフバランス」の実現を目指す。
【具体策】
○性別、正規・非正規にかかわらず、同じ職場で同じ仕事をしている人は同じ賃金を得られる均等待遇を実現する。
○過労死や過労自殺などを防ぎ、労働災害をなくす取り組みを強化する。

42.地球温暖化対策を強力に推進する
【政策目的】
○国際社会と協調して地球温暖化に歯止めをかけ、次世代に良好な環境を引き継ぐ。
○CO2等排出量について、2020年までに25%減(1990年比)、2050年までに60%超減(同前)を目標とする。
【具体策】
○「ポスト京都」の温暖化ガス抑制の国際的枠組みに米国・中国・インドなど主要排出国の参加を促し、主導的な環境外交を展開する。
○キャップ&トレード方式による実効ある国内排出量取引市場を創設する。
○地球温暖化対策税の導入を検討する。その際、地方財政に配慮しつつ、特定の産業に過度の負担とならないように留意した制度設計を行う。
○家電製品等の供給・販売に際して、CO2排出に関する情報を通知するなど「CO2の見える化」を推進する。

43.全量買い取り方式の固定価格買取制度を導入する
【政策目的】
○国民生活に根ざした温暖化対策を推進することにより、国民の温暖化に対する意識を高める。
○エネルギー分野での新たな技術開発・産業育成をすすめ、安定した雇用を創出する。
【具体策】
○全量買い取り方式の再生可能エネルギーに対する固定価格買取制度を早期に導入するとともに、効率的な電力網(スマートグリッド)の技術開発・普及を促進する。
○住宅用などの太陽光パネル、環境対応車、省エネ家電などの購入を助成する。

44.環境に優しく、質の高い住宅の普及を促進する
【政策目的】
○住宅政策を転換して、多様化する国民の価値観にあった住宅の普及を促進する。
【具体策】
○リフォームを最重点に位置づけ、バリアフリー改修、耐震補強改修、太陽光パネルや断熱材設置などの省エネルギー改修工事を支援する。
○建築基準法などの関係法令の抜本的見直し、住宅建設に係る資格・許認可の整理・簡素化等、必要な予算を地方自治体に一括交付する。
○正しく鑑定できる人(ホームインスペクター)の育成、施工現場記録の取引時の添付を推進する。
○多様な賃貸住宅を整備するため、家賃補助や所得控除などの支援制度を創設する。
○定期借家制度の普及を推進する。ノンリコース(不遡及)型ローンの普及を促進する。土地の価値のみでなされているリバースモーゲージ(住宅担保貸付)を利用しやすくする。
○木材住宅産業を「地域資源活用型産業」の柱とし、推進する。伝統工法を継承する技術者、健全な地場の建設・建築産業を育成する。

45.環境分野などの技術革新で世界をリードする
【政策目的】
○1次エネルギーの総供給量に占める再生可能エネルギーの割合を、2020年までに10%程度の水準まで引き上げる。
○環境技術の研究開発・実用化を進めることで、わが国の国際競争力を維持・向上させる。
【具体策】
○世界をリードする燃料電池、超伝導、バイオマスなどの環境技術の研究開発・実用化を進める。
○新エネルギー・省エネルギー技術を活用し、イノベーション等による新産業を育成する。
○国立大学法人など公的研究開発法人制度の改善、研究者奨励金制度の創設などにより、大学や研究機関の教育力・研究力を世界トップレベルまで引き上げる。

46.エネルギーの安定供給体制を確立する
【政策目的】
○国民生活の安定、経済の安定成長のため、エネルギー安定供給体制を確立する。
【具体策】
○エネルギーの安定確保、新エネルギーの開発・普及、省エネルギー推進等に一元的に取り組む。
○レアメタル(希少金属)などの安定確保に向けた体制を確立し、再利用システムの構築や資源国との外交を進める。
○安全を第一として、国民の理解と信頼を得ながら、原子力利用について着実に取り組む。


民主党 政権政策
Manifesto

発行日 2009年7月27日
発行 民主党
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html

民主党の経済政策の問題点


民主党の経済政策の問題点は一言でいうと、これ、全部、個別具体的なミクロ政策であるということだ。

経済は大きなところから見ないと失敗する。そして中央政府はマクロ政策を実施できる唯一の機関である。にもかかわらず、民主党のマニフェスト・経済政策の中にはマクロ政策がひとつもない。マクロ政策とはいうまでもなく、財政政策と金融政策であり、財政支出は政府によって、金融緩和は日銀によって実施される。

これまで民主党が掲げたマクロ政策としては「政権交代こそ最大の景気対策である」「円高で内需拡大」「子ども手当てで内需拡大」くらいなものだ。

まず、政権交代が景気対策だというスローガンが全く内容のない空虚なものであることは指摘するまでもない。次に、円高で内需拡大というのが意味するところが全くの不明である。円高だと普通、輸出が減って、輸入が増えるから、GDPは減少する。つまり、マイナス効果を持つ可能性のほうが高い。少なくとも円高が内需拡大を促進するという理屈はそのままでは成立しない。そして、子ども手当てで内需拡大。もちろん、子ども手当てを給付すれば、そのうちの7割程度は消費へ回るだろうから、その分、内需は拡大する。これは単純に、減税効果と同じだけの効果を持つと考えられる。但し、その財源を増税で賄えばプラス・マイナスゼロとなるし、他の財政支出を削れば、これもまた景気浮上効果はゼロ、場合によってはマイナスとなる。

そして、これまでのところ、民主党から、金融政策に対するコメントはない。国民新党の亀井大臣による金融モラトリアムくらいだろう。その上、政府は経済諮問会議を廃止したが、経済諮問会議はこれまで政府首脳と日銀首脳が話し会いを行えるほぼ唯一の機会だったということだ。これを廃止してしまったので、政府は金融政策を調整する術をわざわざ捨てたことになる。

このように、民主党としては、マニフェストの中にさえマクロ経済政策を持たず、その上、財源が不足すると場当たり的に国債増発を口にしてしまう政権である(これが市場で売却されるのか、日銀による買取によるものかは不明)。そして、最大の問題として、この不況下にあって、デフレを食い止め、経済成長を促すという戦略がいまだに何も見えてこない(日本の潜在経済成長率は少なくとも2%あると推定されるのに)。

以上が筆者の民主党の経済政策に対する論評の基本スタンスである。筆者は現時点において支持政党は持たないから、あくまでも「経済政策の内容」を純粋に議論しているに過ぎないことを付け加えておく。特に政権与党の持つ権力は大きいので、どの党が与党であれ、常に与党の政策を検討することは重要であると考えている。


posted by philnews at 04:41 | Comment(3) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
■原口総務相、子育て手当の財源を地方に求めるなら、選挙すべき−民主党マニフェストを頑なに実現すれば国が滅びる?!!
こんにちは。最近民主党による予算編成にあたり、いろいろ揺れ動きがみられます。特に、子供手当てなどのマニフェストに書かれた公約を実現するためだけに、血道をあげているように思われます。しかし、マニフェストとは、企業でいえば、公に向かって発信される「中長期経営計画」のようなものです。民間企業なら、通常、ローリングプランといって、1年ごとに見直すものです。中長期計画を完全に実施し得たのは、今はなきソビエトのような社会主義国家だけでした。企業の運営も、政治も、長期計画を正確無比に実現するために実施しているわけではありません。ただし、完全に無視することも許されません。結局は、最初に掲げた計画を実現しつつも、企業や日本国の安心、安全、成長のためにあるものです。このあたりのバランスが肝要です。このバランスを失えば、国が滅びたり、衰退します。民主党にはこうしたバランスを図っていただきたいものです。詳細は是非私のブログをご覧になってください。
Posted by yutakarlson at 2009年10月16日 10:48
民主党の政策を要約しその問題点を指摘したという意味では、このphilnewsさんのスレッドは最も優れたものです。

私は、経済政策の一部は効果的なミクロ政策の積み上げでべきとおもいますが、ご指摘のように、大きなマクロ政策という意味ではまだはっきりしたものが出てきていないという点については同感です。以前のブログに書いておられたように、流動性をおもいっきり供給することは、必要不可欠です。くわえて、この機会に直接税を下げ、不足分を当面はSin taxで賄い、経済が回復したところで消費税を10%程度まで上げる。国債は大幅に発行額を増やす。これについては、買い手がほとんど国内の投資家なんで問題はないし、財政の問題への懸念で金利が上がれば、円安になって経済は持ち直すので、財政均衡ということにいま縛られることは非常に危険だと思います。
Posted by max at 2009年11月18日 19:37
maxさん

コメントありがとうございます。

財政支出の一つ一つの事業はもちろんミクロとなりますが、まず最初にデフレギャップを推計して、それを埋めるためにはどれだけの財政出動が必要かを計算した上で予算規模を確定させる(マクロ)ことが大事だと思います。

麻生政権での補正予算15兆円は一応、そうした計算に基づいて出されていたはずなのですが、凍結されてしまいましたしねえ。

不況下での増税は論外なので、やられると困りますが、民主党だとやりそうなので危惧します。

とりあえず、所得税の累進課税があれば、不況下では所得の下がった人の税率は下がりますから減税効果を持ち、好況になると税率の階段を上る人が増えて、GDPの拡大速度よりも速く税収が増えるというメリットがあります。
Posted by philnews at 2009年11月19日 19:33
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