子ども手当の使いみち、「貯金」が65%
民主党がマニフェストに掲げた「子ども手当て」の使いみちについて、65%の人が「子どもの将来のための貯金」と回答したことが民間の調査で分かりました。
インターネット調査会社「マクロミル」が20歳から40歳代までの既婚の男女1000人を対象に行った調査によりますと、中学生以下の子どもがいるおよそ650人のうち9割が「教育費に不安を感じている」と回答しました。
その中で、来年度から支給される予定の「子ども手当て」の使いみちについて複数の回答を聞いたところ、66%の親が「子どもの教育費」と答えた一方、「子どもの将来のために貯金する」と答えた親も65%と、ほぼ同率でした。
また、調査では、子どもを欲しいと思う人のうち、「子ども手当て」が「出産の後押しになる」と考える人が6割を超えています。(26日12:02)
民主党はこれまで子ども手当てにより内需拡大を促し、経済の回復を達成すると言ってきた。しかし、そもそもその財源を他の政府支出から捻出すれば効果は減税と変わらず、なおかつ、削られた政府支出の分だけGDPを抑えるので、子ども手当ての消費性向が十分に高くない限り経済対策にはならないことを指摘してきた。そしたら、案の定、子ども手当ては消費に回りそうに無い。経済成長が見込めず、失業・老後の将来不安を抱えた中では一時的な収入は消費に回らず、貯蓄に回るというのが経済学が明らかにしてきたことだ。そういう、教科書レベルの知識で予測がつくことをわざわざやって、さらに日本経済を冷え込ませる政策を実施しているのが民主党である。
ところで、「子ども手当ては少子化対策であって経済対策ではない」という人がたまにいるので、当の民主党のサイトから「経済対策関連法案について」を引用しておく。
米国に端を発する金融危機及び足元の急速な実体経済の悪化に対応するため、以下の法律案を今国会に提出し、早急な成立を図る。
1.生活を守る経済対策(内需拡大策)
(1)「子ども手当」法案(今国会提出)…子ども・男女
平成21年4月より、「子ども手当」を実施する。
なお、平成21年度の支給額は別途検討する。
http://www.dpj.or.jp/news/?num=14667
民主党は明確に「経済対策だ」と言っているのだから、「子ども手当ては少子化対策であって、経済対策ではない」というのは、当の民主党に言ってあげるべき言葉だ。
ところでその民主党の藤井財務相はこんなことも言っている。
たばこ税は「ニコチン量で見直しも」 藤井財務相
藤井裕久財務相(政府税制調査会長)は27日、都内で講演し、たばこ税について「健康面を考えないといけない。ニコチン含有量が多いのは(税率を)重くして、少ないのは軽くするという改革はありえる」との見方を示した。
民主党は7月にまとめた政策集で、たばこ税について「国民の健康確保を目的とする税にあらためるべきだ」と明記。喫煙率を下げるための価格政策の一環と位置づけている。ただ、「アルコール度数に比例した税制とする」と盛り込まれた酒税とは違って、たばこ税の具体的な課税方法は明記されていなかった。
そもそもタバコの害とはニコチンのみによるものだっただろうか?それよりも数百種類含まれるという様々な有害物質、特に、タールに起因するものだと理解していたが。そもそも、みんながニコチンの少ないタバコを吸えば、害も少ないのだろうか?あまり変わらないという報告を読んだこともあるが・・・・
とりあえず、こんな科学的な根拠の薄いことを発想している時間があるなら、常識的な、教科書レベルの経済対策、つまり、財政政策と金融政策の組み合わせをまずは実施してもらいたい。
ところで、藤井財務相がそんな珍説を発表しているさなか、日銀が2011年度も物価マイナスとなるとの予測を発表した。
日銀が3年連続物価マイナス予測へ
[東京 27日 ロイター] 日銀は10月30日に公表する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)予測を2011年度まで3年連続でマイナスとする見通しだ。
日銀は景気が下振れれば、景気悪化と物価下落の負の連鎖となる「デフレスパイラル」に陥りかねないことから、超低金利政策を維持して粘り強く景気を下支えしていく方針。
<潜在成長率は1%を下回る公算大>
日銀は、物価見通しと表裏一体の関係にある潜在成長率が、足元で低下しているとの見方を強めている。4月末に公表した前回の展望リポートでは、資本ストックの伸び率が低下していることなどを反映して「1%前後」に引き下げたが、足元は1%を下回っているとの見方が有力だ。
景気が冷え込み、失業率は上がり、来年度も物価マイナス、つまりデフレ不況が続く。「子ども手当てで内需拡大」とか「円高で内需拡大」、「たばこ税率はニコチン含有量で」みたいな珍説を発表している時間があったら、民主党には一日も早く「教科書レベルの経済政策」で良いから実施してもらいたい。

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愚問でしょうが、「教科書レベルの経済政策」とは、どんな政策を言うのでしょうか?
やはり、自民党政権時代のようにダム、道路、空港、港湾などコンクリート政治を継続する必要があるという意味なのでしょうか?
コメントありがとうございます。
教科書レベルの経済政策とは、財政政策と金融政策の組み合わせを指します。不況下では政府が財政支出を拡大することにより消費と投資の落ち込みをカバーすると同時に、財源は中央銀行(日銀)が長期国債を引き受ければ、結果として市場へのマネーサプライを増大させることもできます。
これだけで、消費と投資の下落をカバーするとともに、一定度の乗数効果(減税よりも大きな効果)をもった経済の拡大が期待でき、マネーサプライが増加しますので、金利上昇を招くことなくデフレからの脱却も可能となります。
インフレをコントロールしたいならば、リフレ政策も必要ですが、それは教科書レベルを超えているので、今は問いません(もちろん、現実的には必要な政策です)。
具体的な財政支出の内容については、公共事業主体となりますが、内容はコンクリート政治である必要はありません。基本的には、将来の生産性を高めるものに投資されれば、より好ましいのですが、「代替案」のブログ主さんが主張しておられる環境分野へのグリーン・ニューディールでもかまいませんし、例えば、地方自治体に10億円ずつ分配し、独自の公共事業を立案・実施してもらうという方法でも構いません(日本の市町村数は1772市町村なので約2兆円)。東京ならば、開かずの踏み切りをなくすとかでも良いのではないでしょうか?麻生政権によるエコ自動車への買い替え補助金なども、かなりの効果を持っていたと思います。
重要なのは、経済成長を促すことを目的として、財政・金融政策を実施することですが、現在の政府と日銀からは、その経済成長への見取り図が見えてきません。
財務省は「財政再建」を至上目的とし、日銀は「物価の安定」を至上目的としているのではないでしょうか?
与党の役割は、こうした省としての利益しか考えない「官僚」をコントロールし、財務省には財政拡大を、日銀にはリフレ政策をとらせることだと思うのですが、せっかく、政治主導と言っている現与党も、まだ、そうした政策を考えているようには見えません。