

フィリピンのスイカ(西瓜)はバターン(Bataan)、ブラカン(Bulacan)、パンパンガ(Pampanga)、タルラック(Tarlac)、ヌエバ・エシハ(Nueva Ecija)、リサール(Rizal)、バタンガス(Batangas)、ラグナ(Laguna)など中部ルソン地域を中心に広く栽培されている。
多くはコメの収穫後に裏作として栽培されるので、作付けは10月以降となり、生育には約2ヶ月半かかるので、収穫は12月半ば以降となる。一方、スイカの値段は需要と供給で大きく変動する。クリスマス・シーズンのこの時期、例年スイカの市場価格が最も高騰するのだが、1月に入ると供給が急激に増加するのに合わせ値も急激に下がる。軽く半値にはなるだろう。
外部者から見れば「だったらどうして一ヶ月前に作付けしないのか?」と疑問に思うのだが、農家には農家なりの事情があるのだ。
スイカはコメの収穫後に植えつけるものだが、10月中に収穫を終える田はそれほど多くないこと、稲の収穫から出荷まで、それにスイカ栽培のための土地の準備にも時間がかかることから、多くの農家ではスイカを植えつける中心は11月以降となる。また、スイカは水に弱いので台風シーズンでもあり、雨季も完全には終わっていない10月はまだ危険な時期なのだ。小資本の農民が多いことから、2倍の利益を追求するより、リスク回避が先行するのかもしれない。

フィリピンのスイカ(Pakwan/西瓜)栽培は重労働
ところで、スイカ栽培は重労働である。
田植えが終わればそれほど手間のかからないコメと違って、スイカ栽培には毎日の水遣りが欠かせない。スイカ栽培は乾季に行われるのだが、フィリピンでは灌水を手で行う。早朝4時には起き出して、一つ一つの苗にバケツと手桶で水を遣るのだ。また開花時期には受粉作業も伴う。こうした作業だけで一日4-5時間は費やすのが常だ。その他、病虫害防除のための農薬散布作業も他の作物と比べれば頻繁に行われる。(注:これらは地域差があるかもしれません)
つまり、スイカ栽培は稲作よりもより大きな資本と労働力投入を必要とする。その上、価格変動が激しいから、かなりギャンブル性の高い農業とも言える。
とはいっても、これまで灌漑設備の整っていない地域ではコメの裏作としてモンゴ豆やサツマイモしか作付けされていなかったわけだから、スイカのような商品作物の栽培が拡がったことはフィリピン農業の発展と言えるだろう。今後、水遣りの自動化(多分、チューブ灌水ができるんじゃないだろうか?専門の方、ご意見いただければ幸いです)などが進めば、フィリピンのスイカ栽培はより高度なものになるかもしれない。


注:画像は全てイメージです。フィリピンのスイカではありません。

【フィリピンの最新記事】
- 100万人を雇用するフィリピンのBPO産..
- フィリピンの自転車事情
- フィリピン・ボホール島でM.7.2の地震..
- マニラでNHKが見れなくなる?
- バランガイ
- アリ(蟻)がパソコン(PC)を壊す!
- フィリピンのインフレターゲット政策
- ミンダナオ島の武装勢力
- フィリピンの男女格差・ジェンダーの問題
- フィリピンへの世界経済危機の影響は限定的..
- マニラの石油危機
- G20デモの2000人が暴徒化
- フィリピンのジェットコースターが事故(ス..
- Wowowee
- フィリピンの国会(Congress)
- フィリピンの生産性
- アキノ大統領
- グリーンピース
- 海外出稼ぎ労働者(Overseas Fi..
- アロヨ大統領