消費増税、11年度にも議論=予算の無駄削減前提に−菅財務相
菅直人副総理兼財務相は10日のNHK番組などで、消費税率引き上げを含めた今後の財政運営について「この1年は徹底的に財政を見直す。その上で必要な議論は消費税であろうとやっていく」と表明した。菅氏はこれまで、消費増税の議論を早急に進めることに否定的な考えを示していたが、早ければ2011年度から具体的な議論を始める考えを示したものだ。
消費増税に関し、財務相は「議論をすることがだめだとは言っていない」と強調。さらに「逆立ちしても無駄が出なくなったときに、福祉のために何らかの財源が必要なのか(という議論)だ」と述べた。
10年度予算案で10兆円超を確保した特別会計の「埋蔵金」など税外収入については「かなり少なくなっており、(11年度予算では)今年ほど出ない」と指摘。独立行政法人や公益法人などを対象に無駄な事業の洗い出しにも本格着手する考えを示した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100110-00000040-jij-pol
菅直人財務相の増税論議
菅直人財務相は消費税率引き上げを含めた今後の財政運営について「この1年は徹底的に財政を見直す。その上で必要な議論は消費税であろうとやっていく」と表明したとのことだ。
来年度(10年度)の予算がそもそも子ども手当等で膨らんだ支出を国債と一度限りの埋蔵金で賄うというものだっただけに、これは来るべくして来た論議とも言えそうだ。
そして「消費税のアップ」こそが最初から財務省が目論んでいたことだろう。だからこそ、来年度予算をあのような、通常ありえないような形にしておいて増税を行わざるを得ないように持って行ったのだ。財務省の意を受けたとしか思えない仙谷行政刷新相などは最初から消費税増税を打ち出していたし、ここで菅直人新財務相が増税論議・消費税アップを持ち出したとしても、今更驚くべきではないのかもしれない。
但し、デフレ不況の今、増税論議を持ち出すこと、それもよりによって消費税アップを持ち出すことは筋が悪い。消費が落ちている不況下で増税すれば、消費がより落ち込むことは簡単に予測できるし、そもそも消費税とは消費に対して一律にかかる税金だから、貯蓄さえできずほとんどを消費してしまう(消費性向が高い)貧困層へほど実質高税率をかけていることになる(税の逆進性)。

photo by soho
消費増税論議の前にやるべきこと
増税論議を出す前に、まずは税の捕捉率を上げることが先ではないか?昔からクロヨン(9・6・4)と呼ばれる言葉があるが、これは給与所得者の税の捕捉率が9割を超える(源泉徴収であるため)のに対して、自営業者は6割、農業・林業・水産業従事者は4割しか税の捕捉ができていないという状況を指す。
また、逆進性のある消費税を上げるくらいなら、所得税の累進税率を「90年代前半」の水準に戻すことの方が先だろう。所得税の最高税率は以下のように推移してきた。
1986年 70%
1987年 60%
1989年 50%
1999年 37%
2007年 40%
最高税率を50%に引き上げるくらいは大丈夫なんじゃないだろうか?そもそもほんの少し前(86年まで)は最高税率が70%もあったのだから。
しかし、そもそもが、現在財政が逼迫しているのは、税収の落ち込みが原因だが、これを税率を上げることで回収しようとすると、さらに景気が悪化し、税収が落ち込むという最悪のケースも考えられる。まずは、しっかりとした景気対策を行い、景気の浮揚により税収をアップさせる道を目指すことこそが正攻法だと思うのだが・・・・
追記:とあるところの情報によれば「テレビ番組では菅直人財務相は増税論議を積極的に行っていたのではなく、むしろ、誘導尋問のように引き出された発言だった」とのことだ。このところの菅氏の発言は「現在は供給よりも需要が大切」や「効果のある公共事業は否定しない」それに「デフレ克服宣言」などかなり良いことを言っている。だとすると、冒頭の報道は「もう消費増税しかない」という財務省とマスコミによる印象操作だった可能性がある。
今、日本は、発展途上国との
価格競争に巻き込まれている。
途上国は、人件費や社会保障費、税金などのコストが、
日本と比べて圧倒的に低い。
日本企業も、国内生産に拘らず、海外生産に転換し、
外国製品を『 ブランド』という看板で隠して
売る方が利口だろう。
デフレ雄と言われる企業は、
このビジネスモデルをベースとして
利益を上げているケースが多いのかもしれない…。
当然の企業活動だが、これでは、
国内生産で循環していた資本・雇用・設備投資が、
丸々、国内から抜け出てしまう。
そう考えれば、国内産業空洞化が加速し、
雇用や所得減が進んでいる事も頷ける。
この構造を変えない限り、
財政出動一辺倒による政策だけでは、
短期的に景気浮揚しても、国の赤字が膨らむだけで、
デフレから脱する事は出来ない。
穴の開いたバケツに
水を注ぎ込むようなものだ。
政府は、対ドルで100円程度まで円安に誘導し、
少しでもコスト格差を縮め、消費税を中心とした
税体系へ移行に取組む必要が有る。
円高に耐えうる社会に移行する為にも、
間接税中心の税体系に社会構造を転換するべきだ。
5年以上、半期ごとの消費税増税が可能なら、
駆込み需要により資本流動性が高まり、
デフレも克服出来る。
毎年、決算期に駆込み需要が起これば、
期末の経済危機も、少しは緩和されるだろう。
一定の金額を毎年定額給付金として再分配すれば、
低所得者への負担も軽減出来る。
景気回復という青い鳥を追い求め、
財政出動一辺倒の政策を続けた結果、
国債残高は1000兆円に迫る勢いで
積み上がってしまった。
利払いだけで、40兆にも満たない税収の
1/4を費やさなければならない。
2010年度は、新規国債・借換債の為に
140兆円以上の国債を発行しなければならない
状況に追込まれている。
政治は選挙に不利となる
消費税の増税論議から逃げ続けてきた。
選挙前であっても、
消費税の継続増税論議から
逃げてはいけない。
今、政治が逃げたら、国が壊れる…。
.
菅さんが誘導尋問ぽい質疑の中で、こういうことを言ったというのは、1.国民に対して正直に向き合っている、2.当面やるつもりはないということである という意味で評価できると思います。ここで消費税増税がないと言い切るのは、今までと同じように政治に対する不信感を増幅させる結果になるでしょう。
重要なのは、経済が回復するまでは、1.金融・財政政策を緩和する、2、円安は歓迎する(今回の菅発言はいままでの財務大臣に勇気がなかったからできなかったのに比べると立派なものです。95円という中途半端なターゲットを言ったことは失点で、”現在の円の水準は高すぎる”とだけ言うべきだったでしょう。)、3、直接税カット、間接税アップという税制政策・規制緩和を決断し参院選で国民に問う。
maxさん
コメントありがとうございました。
>5年以上、半期ごとの消費税増税が可能なら、
>駆込み需要により資本流動性が高まり、
>デフレも克服出来る。
これは私も面白いアイディアだと思っています。消費増税はコアコアCPIも上がりますので、一度に上げず、毎年1%づつ上げれば年率1%のインフレを作り出せます。まあ、デフレ・インフレは本来は金融政策で行うのが筋であるとしても。
>一定の金額を毎年定額給付金として再分配
>すれば、低所得者への負担も軽減出来る。
これも是非実現していただきたいと思います。
>景気回復という青い鳥を追い求め、
>財政出動一辺倒の政策を続けた結果、
>国債残高は1000兆円に迫る勢いで
>積み上がってしまった。
例えば、年率2%のインフレがこの20年間続いていたとすると、実質成長がゼロだったと仮定してさえ今頃の名目GDPは750兆円となっており、国債残高も対GDP比で問題となることはなかったと考えます。この部分はひとえに日銀の金融政策の失敗こそが原因だと私は考えています。
maxさん
1.金融・財政政策を緩和する、2、円安は歓迎する(今回の菅発言はいままでの財務大臣に勇気がなかったからできなかったのに比べると立派なものです。95円という中途半端なターゲットを言ったことは失点で、”現在の円の水準は高すぎる”とだけ言うべきだったでしょう。)
この部分について、全く同意です。私も菅財務大臣には大変期待しています。
また、企業が海外へ逃げるどころか、海外から企業を誘致さえできるほど、法人税は下げて良いと考えています。そうすれば、一番大切な「雇用」が生まれるわけですから、そこから徴収する「所得税」で財政が悪化することは防げますし。
個人的には、非関税団体からも課税協力を得る為にも
消費税の継続増税は必要だと感じています。
公的団体も含め、
非課税団体の数が多すぎます…。
究極の子供手当や献金問題で国会が揺れていますが、
そもそも、非課税団体という抜け道が有るから。
参院選は、政治献金や立法機関自体の
コスト削減の道筋一点について、
与野党共マニフェストを示して戦うべきでしょう。