これについて日本のメディアは「「例外扱い」は恥ずかしい」(産経)とか「日本こそ必要な危機感」(毎日)とか、まったく見当違いの反応をしている。
しかし、さすがに世界はよくわかっている。日本は財政再建なんかしている場合ではないってことを。
債務を10%軽減する方法
例えば、日本のGDPを500兆円、債務額を800兆円とする。財政の持続可能性で重要なのはGDPに対する債務比率だから、GDPに対する債務比率を10%低減することを考えよう。
これを債務返済で行おうとすると、80兆円返済する必要があり、この80兆円は増税と歳出削減を財源とする必要がある。一方、分母にあたる名目GDPの成長で行おうとすれば、年率3%の成長を3年続ければおしまいだ。
3年間で80兆円分の債務返済を行うことと、3年間、年率3%の名目成長を続けることの意味が同じ。にもかかわらず、日本は、この20年間に渡って「人為的に」成長率をゼロに抑えてきた。インフレ率がマイナスからプラス域へ転じようとするたびに日銀が金融引き締めを行って、またデフレへと引き戻してきたからだ。(参考)

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リフレ政策によるデフレ脱出こそが急務
そうした日本に課せられたのが他国と同じ「財政赤字の半減」でなかったことは当然といえる。他国の場合、すでに名目成長率は十分に達成しているので、あとは財政赤字の削減しか手がない。しかし、日本の場合はデフレをインフレへ転換させる(リフレ政策)だけで債務比率の軽減ができてしまう。増税・歳出削減なんかしてデフレ不況を深刻化させれば、それこそ取り返しがつかないのだ。
つまり、同じ債務問題、財政再建とはいっても、日本と他の先進国では処方箋は異なるのである。日本がやるべきはまず、リフレ政策によるデフレ不況からの脱出なのである。
【参考】債務残高の国際比較
日本経済 過去20年の推移

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