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フィリピン英会話ネット
2015年06月06日

100万人を雇用するフィリピンのBPO産業

フィリピンは近年高い経済成長率を達成している。例えば2012年は6.8%、2013年は7.18%、そして2014年は6.24%を達成した。この2012年以降の成長率はタイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアといった周辺のASEAN諸国と比べてもフィリピンが首位である。フィリピンのこの10年を振り返ると、フィリピンはいま急速な産業構造の変化を経験していると言っても大げさではないだろう。

フィリピンの経済成長率
フィリピンの経済成長率.png

ASEAN諸国の経済成長率比較
フィリピンGDP成長率比較.png

フィリピンのBPO産業


この産業構造の変化をもたらしているのがBPO産業(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)である。ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)とは、企業運営上の業務やビジネスプロセスを専門企業に外部委託することを指すが、フィリピンの場合はアメリカを中心とした海外の企業からコールセンター業務を中心に委託を受けている。

2013年にフィリピンのBPO産業は90万人の労働力を雇用し155億ドルの総収入を得た。これはフィリピンのGDP2720億ドルの5.7%にあたる。フィリピンの労働人口は約4000万人だから、労働人口の2.25%でGDPの5.7%を稼ぎ出したことになる。BPO産業は2004年には10.1万人を雇用し13億ドルを稼ぎだすに過ぎなかったものが、その2年後の2006年には24万人を雇用し32億ドルの売上へと倍増した。そして、ほんの10年の間にその規模は10倍となった。

ちなみに人口の約1割が海外に居住又は就労するフィリピンは海外出稼ぎ労働者(OFW)から年間230億ドルの送金を受けており、これはGDPの8.5%の相当するが、このままBPO産業の成長ペースが続くと2016年には130万人を雇用し、250億ドルを稼ぎ出す産業となり海外出稼ぎ労働者からの送金総額を抜くのではないかとさえ見られている。さらには、2012年の段階で労働人口の32%が従事し、GDPの11.8%(256億ドル)を生み出した農業部門を付加価値額で抜くのも時間の問題だろう。また、BPO産業は労働者一人当たり2.5人の追加的雇用を小売り、交通、サービス部門に生み出すと見られているので、経済への波及効果はさらに大きくなる。最近街中に増えてきたスターバックス等の決して安くない飲食店やセブンイレブンを初めとした24時間営業のコンビニエンスストアーの増加も、コールセンター従業員を顧客としていると考えれば納得できる。

イーストウッドの成長


ここで現在、マニラ首都圏でコールセンターの中心地の一つとなっているケソン市のイーストウッド(Eastwood)について見てみよう。

イーストウッドは1997年にメガワールド・コープのアンドリュー・タンによって開発が始められるまでは、寂れた繊維工場が林立するエリアだった。タンはこの一帯16ヘクタールの土地をコールセンター、マンション、そしてショッピングエリアとして開発し、1999年にはPEZA(Philippine Economic Zone Authority:フィリピン経済区庁)からITパークとして認定を受け、税制優遇措置を得た。

これによりイーストウッドは現在59の企業で60000人が働く地域となり、その従業員を中心に25000人が居住、500の店舗が展開する一大複合エリアに成長している。ちなみに、日本の東映アニメーションもイーストウッドにスタジオを構え、250人のスタッフが動画を作成し、太いインターネット回線を用いて日本に送っている。あの『セーラームーン』も『ワンピース』も動画はフィリピンで制作されていたのだ。

イーストウッドの様子
Eastwood-City-Night-031.jpg

フィリピン中央銀行の調査によればBPO産業の従業員は平均で$8,849(2012年)を稼ぐが、これはマニラの最低賃金(日額481ペソ)の3倍にあたる。大学新卒の社会人の給与は一般的には最低賃金+α程度なので、新卒でコールセンターの職につけばいきなり一般の3倍の給与が得られるということを意味する。

サービスが海外へ売れるようになった


一昔前までBPO産業の中心地はインドだった。それが2010年にフィリピンの売上額がインドを抜きさり、世界一へと躍り出た。その理由の一つに、フィリピンの英語力の高さがある。インドでは大卒者のうちBPO産業で採用できるレベルの英語力を有しているものは10%程度とされているが、フィリピンではそれが30%に上る。特に、顧客であるアメリカ人やオーストラリア人にとって聞きやすい英語を話せることがフィリピンが好まれる理由である。

このような変化がもたらされたのは、何よりもまずインターネットが普及したことが背景にある。つまり、これまでは国内でしか販売できなかった「サービス」がインターネット回線を通してフィリピンに居ながらにして海外へ販売できるようになったのだ。これまでフィリピンが輸出できる商品といえば、鉱物資源であり、農産物であり、電化製品でありといった具体的な形をともなった「モノ」だった。そして、サービスを販売するためにはフィリピン人自身が海外へ出稼ぎに行き「労働力」として販売する必要があった。それが、ネット回線を通して海外へ出ることなく労働力を販売できるようになったのである。

フィリピンBPO産業の課題


ただし、フィリピンのBPO産業もすべてがバラ色というわけでもない。まず、アメリカを主な顧客としたコールセンターの場合、勤務時間をアメリカに合わせることになるので、フィリピン人が本来就寝しているはずの深夜に働くことになる。このため、コールセンターの従業員は昼夜逆転した生活になることが多く、体を壊す従業員が続出している。また、BPO産業は2012年だけでも137000人を新規雇用したが、これはフィリピンの大学新卒人口の25%にあたる。すでに、優秀なフィリピン人を継続的に雇用することが難しくなってきているのだ。

マカティのビル群から見上げた空
makati sky1.jpg

次に、現在、フィリピンのBPO産業の65%はコールセンター事業が占めているが、今後は電話によるサービスだけでなく、メール、SNS等の多様な媒体を使った事業が増えてくるので、そうした変化に迅速かつ柔軟に対応していく必要がある。さらにはWEBシステムやアプリの開発等、より付加価値の高い事業への成長が求められている。

フィリピンの一人当たりGDP(購買力平価 USドル)
フィリピン 一人当たりGDP.png


【参考】
Philippines’ Rise as Call-Center Nation Lures Expats Home

Phl closes in on India as top BPO site

It’s official: PH bests India as No. 1 in BPO
posted by philnews at 20:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2015年06月01日

フィリピンの自転車事情

フィリピンに、特にマニラ首都圏に滞在してしばらくすると気づくのは、日本と比べて自転車をあまり見かけないことだ。国民全員が自動車やオートバイを買えるほど裕福なわけではないのに、それより安いはずの自転車もそれほど普及していない。そして庶民の足はバス、ジプニー、トライシクルといった公共交通機関である。大通りに沿った長距離移動はバス(一部LRTやMRTのような軽量高架鉄道)、車で30分以内の距離ならジプニー、そして、ジプニーを降りて家まではトライシクルと言った具合だ。

bike1.jpg

目的地が歩いて20分程度の距離ならば、自転車に乗ってしまえば5分で着きそうなものだ。しかし、これくらいの距離だと歩くことはまれでトライシクルに乗ってしまう。それだけで往復で何十ペソかがかかる。

マニラ首都圏で自転車が普及しない8つの理由


ではどうしてマニラでは自転車が普及しないのだろう?その理由を思いつくままに挙げてみる。

1. 一般道路は自動車が我が物顔で飛ばしているので自転車が走れない。
2. 歩道(側道)は自動車が駐車して塞いでいるので通れない。
3. EDSA大通りのような大きな道には信号や横断歩道がないため、横断するためには数キロおきにある歩道橋を使うしかないが、その際、自転車を担がなければいけない。
4. せっかく自転車に乗って目的地であるスーパーやお店に到着しても、自転車を止めるスペースがない。
5. 自転車に鍵を付けても、鍵を壊されるか担いでそのまま盗まれる。
6. 自転車本体が盗まれなくても、放置している間に付属部品が盗まれる。
7. 乾季は暑いので自転車を漕ぐと汗だくになる。
8. 乾季は良くても雨季はびしょ濡れになるので自転車は不便である。

少し挙げてみただけでも、どうやらマニラでは自転車に乗れる条件が整っていないと言える。とくに3番目のEDSA大通りが横ぎれないというのは深刻で、それこそ車体重量が20キロを超えるようなママチャリは歩道橋を担げるわけもなく、自転車は大通りに囲まれた狭い範囲の移動手段としてしか用をなさなくなる。

これが田舎へ行くと、それなりに自転車は使われていて、特に、村の高校生あたりが通学のために乗っている風景をよく見る。地方では車もそれほど多くないし、通行を妨げる大通りもない。すると購入費用以外にはお金の掛からない自転車が十分魅力的な交通手段となるのだ。

ryanbikes.JPG

ちなみに、フィリピンでポピュラーな自転車の種類はマウンテンバイクである。日本で見かけるシティサイクル(いわゆるママチャリ)や、ロードバイク、そして最近流行りのクロスバイクはほとんど見かけない(ママチャリは日本の中古車が輸入されて安価?で売られている)。舗装されていない田舎の道や、舗装されていても凸凹の多いマニラ首都圏では、頑丈なマウンテンバイクが合っているのだろう。

マニラ首都圏の主な自転車レーン


一方、マニラにも自転車を普及させようとする人たちはいるようで、街中に自転車レーンを設置する動きもある。自転車は渋滞を緩和し、環境に優しく、健康にも良いと考えられるからだ。具体的には以下の6つの自転車レーンがその主要なものである。

- Ortigas to Santolan along EDSA northbound (2.105K)
- White Plains from EDSA to Temple Drive in Quezon City (982.6 meters)
- Marcos Highway from Evangelista Street to Sumulong Highway in Marikina City (9.14K)
- Magallanes to Ayala Avenue along EDSA in Makati City (1K)
- Commonwealth Avenue from University Avenue to Tandang Sora in Quezon City (2.92K)
- Marikina Bike Lanes

この他、フィリピン大学ディリマン校構内やアテネオ大学マニラ校構内にも自転車レーンが設置されている。但し、上に挙げた自転車レーンの多くも、自転車専用道を新たに設置しているわけではなく、あくまでもこれまで歩道として利用されていた大通りの側道の一部を赤く塗って自転車レーンとしているだけだったりする。そのため、実際に自転車レーンを走ろうとしても歩行者を避けて走る必要があるため、結局はこれまでと同じく自動車道を走り続ける自転車利用者も多い。

bike2.jpg

マニラに自転車が普及する条件


さきほどマニラに自転車が普及しない8つの理由を挙げたが、これらは1.道路及び歩道橋の整備状況 2.パーキングスペースの整備状況 3.盗難の防止状況 4.気候の問題 の4つにまとめられる。もちろん、公共交通機関や自家用車と自転車の購入・維持費用との損得勘定といった経済条件もこれに加えられる。

これらのうち、気候条件は操作不能なので考察の対象からはずすとして、政策的に操作可能なのは1〜3である。また、盗難防止はいまのところ困難であるので、人為的に整えられるのは道路及び歩道橋の整備とパーキングスペースの整備の2つということになる。その中でも短期的に実施可能で効果が高いのは、歩道橋への自転車用スロープの設置であろう。自転車で走っていて目の前を大通りに遮られると、もう、そこから先へは行けず途方に暮れる。この状況を改善することこそが、まず第一に必要なことだと思えるのだ。

このように、日本では普通に乗りなれている「自転車」ひとつとっても、それを日常的に利用できることは極めて経済的、社会的、インフラ的な様々な条件が整った上で初めて可能となっていると言えるのではないだろうか?

【参考】
The Bicycle Diary:Inquirer
Pedal to the metal: Are we really ready for the bike lanes that have sprouted around the metro?
posted by philnews at 16:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2013年10月16日

フィリピン・ボホール島でM.7.2の地震


10月15日午前8時15分、フィリピン・ボホール島でマグニチュード7.2の大地震が発生した。

地震の震源地はビサヤ諸島の一つボホール島のカルメン町の南東2kmで、観光地として有名なチョコレートヒルズの近く。ボホール島だけでなく、フィリピン第2の都市セブ島やその他のビサヤ諸島およびミンダナオ島など広範囲に渡って強い揺れが観測され、多くの被害を出している。

フィリピン各地の震度


10月16日午後7時発表のNDRRMC(フィリピン国家災害対策評議会)のレポートによると、各地の震度は以下の通り(カッコ内は日本の震度);

震度7(震度5強) Tagbilaran, Bohol and Cebu City
震度6(震度5弱) Hinigaran, Negros Occidental and Dumaguete City
震度5(震度4)Iloilo City; La Carlota City; Guimaras Island; Abuyog, Leyte; Ozamis City; Sibulan, Negros Oriental; Camiguin Island; Gingoog, Misamis Oriental; Cagayan de Oro City
震度4(震度3)Roxas City; Masbate City; Bulusan, Sorsogon; Hinunangan; Tabon Tabon; San Pablo; Bato, Leyte; Patnungon, Antique; Dipolog City; Bacolod City; Naval, Biliran; Bayawan City; Baybay, Southern Leyte; San Jose Antique; Guihulngan, Negros Oriental; Butuan City; Tacloban City
震度 3 (震度2) Davao City; Canlaon City; Cotabato City; La Costellana, Negros Occidental; Zamboanga City; Borongan City, Samar; Bukidnon; Tarragona, Davao; Surigao City; Laoan, Antique; Cobatato City;Banisilan, North Cotabato; Ptongan, Zamboanga del Norte; Polanco, Zamboanga del Norte; Labason, Zamboanga del Norte; Manukah, Zamboanga del Norte; Balderama, Antique; and Barbaza, Antique

フィリピンの震度(Intensity)の尺度は日本のものとは異なっており、最高震度を10、最低震度を1とした10段階の尺度であり、震度7(Intensity 7)は日本の震度5強に相当する。
「震度7(破壊的): ほとんどの人が恐怖を感じ屋外に飛び出る。床に立つことは難しく、屋内の重い物や家具がぐらついたり倒れたりする。教会の大きな鐘が鳴る。老朽あるいは貧弱な建造物はかなりの被害を受け、頑丈な建造物にもわずかな被害が出る。堤防や道路、ブロック塀にひびが入る場合がある。一部で地盤の液状化および側方流動、地滑りがみられる。木は強く揺れる。」 フィリピンの震度

フィリピン各地の被害状況


地震による被害状況は16日午後7時現在でボホール島で134人、セブ島で9人、シキホール島で1人の少なくとも合計144人の死亡が確認された。またボホール島では23人の消息が不明。負傷者は291人にのぼる。
またビサヤ地方の3州、39市・町だけで300万人が影響を受け、このうちボホール島では7430家族(3万7000人)が避難生活を送っている。
ボホール島ロボック町およびバカラヨン町、セブ島セブ市の教会が倒壊、両島の政府機関や病院、空港、港湾施設、ショッピングモール等にも半壊、一部損壊などの被害が生じている。
また、各地で橋の倒壊や道路への亀裂が報告されており、震源地となったボホール島では通行不能となった道路が4つおよび崩落した橋が20。

ボホール島の被害状況(画像35枚)

フィリピンの地震


フィリピンでは2000年代以降、マグニチュード7.0を超える規模の地震は4回起きており、今回のボホール地震は5回目のものとなる。最近では2012年8月31日にサマール島で起きたマグニチュード7.6の地震があるが、その時の被害は比較的軽微(死者1名)であった。
しかし、今回のボホール島地震は被害規模から見ると、1600年以降で5番目の規模となり、近年では1990年に起きたルソン島大地震以来のものとなる。同様に、被害規模で見ると、昨年(2012年2月)に同じビサヤ諸島の一つネグロス島で起きたマグニチュード6.7の地震では死者51人が出た。

(2013年10月17日0時更新)

【参考】
NDRRMC(フィリピン国家災害対策評議会)
Deadly Philippine quake hits Bohol and Cebu
List of earthquakes in the Philippines
posted by philnews at 02:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年12月03日

マニラでNHKが見れなくなる?

フィリピン・マニラ首都圏には大きなケーブルテレビ会社が2つあり、多くの家庭が利用している。

スカイケーブルとディスティニーケーブル


最大手はSkyCable(スカイケーブル)であり、これはフィリピン最大のテレビネットワークABS-CBNを抱えるロペス財閥傘下の企業である。全国に50万軒の契約世帯を持ち、最大で120チャンネルの番組を見ることができる。

一方、フィリピン第2位のCATV会社がGlobal Destiny Cable(グローバルディスティニーケーブル)であり、こちらも100チャンネル近くの番組を見ることができる。

2社の最大の違いは利用料金だろう。SkyCableは全チャンネルを見たければGoldプランの月額1000ペソ(約2000円:1ペソ=2円)に加え、Platinum料金でさらに350-800ペソを払う必要があり、かなり高くつくが、Global Destiny Cableは基本料金の月額500ペソ(約1000円)で全チャンネルが見れる。SkyCableもより安価な499ペソプランや280ペソプランを用意しているが、その場合、視れるチャンネル数が大幅に減るのであまりお得とは言えない。

例えば、海外でも見れるNHKの日本語放送であるNHK World Premiumを見たい場合、SkyCableならゴールドプランの月1000ペソを払うか、280ペソの最小プランにNHKの追加料金P250を足して530ペソを払うかの選択となるのに対し、Global Destiny Cableなら500ペソの基本料金でNHKを含めた全チャンネルが視聴が可能だったのだ。

ということで、フィリピン(マニラ)でNHKを見るならGlobal Destiny Cableがお得だった。が、これはすでに過去形である。

watching TV.jpg
Photo by Sage

NHKワールドプレミアム 配信停止


フィリピンのGlobal Destinyでご覧の皆様へ

いつもNHKワールド プレミアムをご覧いただき、誠にありがとうございます。

この度、Destiny Cableの長年にわたる契約不履行により、2011年1月4日をもって同社へのNHKワールド プレミアムの配信をやむなく停止することとなりました。

マニラ首都圏では、同社以外にもケーブルテレビ局SkyCableがNHKワールド プレミアムを配信しております。

以下、SkyCableの連絡先です。

SkyCable
TEL: +63-2-631-0000

お住まいの地域でSkyCableがご視聴いただけない方々は、弊社と直接ご契約いただくことで、NHKワールド プレミアムを有料でご覧いただくことが可能となる場合がございます。詳細につきましては、弊社のホームページ、「新規お申し込みのご案内 > 直接受信のご案内」をご覧ください。

Destiny Cableにてご覧になられている視聴者の皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。

ご不明な点がございましたら、弊社カスタマーセンターまでお問い合わせください。


なんと、Global Destiny CableへのNHKワールドプレミアムの配信が停止されてしまった。以前はWOWOWやBS1まで見れたらしいが、それも忽然と消えてしまったそうだ。そして今回のNHKの配信停止・・・・・

その理由が「Destiny Cableの長年にわたる契約不履行」ということだから、NHKを責めるわけにも行かない。フィリピンの最大の問題点は、このように有名企業でさえ平気で契約不履行・料金不払いなどをやってのけることである。これでは経済が発展しようもない。

信頼が成立していない市場


それにしても、これはフィリピン在住日本人にとっては相当な痛手だろう。コンドミニアム(マンション)のような集合住宅では、個人の判断ではケーブルテレビ会社を変えることさえできないこともあるからだ。つまり、NHKの日本語放送を見れなくなる日本人がかなり生まれることになる。

SkyCableのような大きな会社(例えばPLDTとかPALとかMeralcoとか)はシャア第一位に胡坐をかき殿様商売をするのが常なので、2番手の会社(BayanTelとかCebu Pacificとか)がサービス優先でシェアを拡大し、競争を促してくれることが消費者にとってはありがたい。しかし、デスティニー・ケーブルの場合、それを契約相手への料金不払いによりサービス料金を抑えてきたということになれば褒められたものではない。なおかつ、SkyCableにしてもDestiny Cableにしても、利用者レベルでは月々の利用料金さえ払わずに、分配器などを使って見ているフリーライダーが著しく多いことは言うまでもない。そのコストは真面目に料金を払っている利用者が負担していることになる。つまり、一言でいうと、フィリピンには日本でなら常識的に思われる市場における「信頼」が十分には成立しておらず、それが経済の発展を妨げていると言えるのではないだろうか?
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2010年10月25日

バランガイ

バランガイ(Barangay)の語源は他の東南アジア地域からやってきたフィリピン人の祖先たちが乗っていた、その船(マレー語でBalangay)のことである。当時、到着した集団毎に50−100軒程度の小集団で集落を形成していたと考えられている。フィリピンの村落は古くはバリオと呼ばれていたが、マルコス政権時代にバランガイと改名された。



バランガイは地方自治体


バランガイはフィリピンの最小行政単位であり、2010年現在、全国に42025存在する。フィリピンの行政構造は基本的に国−(地方)−州−市・町−バランガイとなっており、このうち地方(Region)を除く全てに首長と議会が存在している。フィリピンの人口が約9000万人であることを考えると、バランガイの平均規模は400世帯・2000人強ということになる。

バランガイは日本の町内会と似た組織だと語られることが多いが、実際は地方自治体としての法的地位を有しており、法的には自主団体と分類される日本の町内会よりも格段に大きな権力を持っている。具体的にはバランガイ議会での立法権(バランガイ条例)、バランガイ・キャプテンのもつ行政権(逮捕権含む)、そして同じくバランガイ・キャプテンが裁判長を務めるバランガイ裁判所の司法権と、3権を有する政府組織である。このうち、バランガイ裁判所について見れば、犯罪に対して罰則を与えるというよりは、村人の間の揉め事を調停し、平和に保つことが目的といえる。バランガイ裁判所で解決できない案件や、その守備範囲を超える犯罪についてはより上級の裁判所が扱うことになる。

barangay 01.jpg
Photo by archangel_raphael

バランガイの財源


バランガイの財源は人口や面積に応じて国から配分されるIRA(Internal Revenue Allotment:内国歳入割当金)が大部分を占め、他に、サリサリストアやトライシクルから徴収される営業許可税、そして固定資産税の一部などの独自財源も持つ。特に、サリサリストアや住宅の多いマニラ首都圏のバランガイでは営業税・固定資産税などからもたらされる税収も大きいが、農村バランガイの場合は、IRAによる収入だけで歳入の90%を超える。今年の全国のバランガイに対するIRA配分の総額は510億ペソ(1000億円)となっており、法律では中央政府の税収のうち40%はIRAとして全国に配分されると定められている。

人口2000人程度の平均的な農村バランガイの場合は、IRAが100万ペソ(200万円)程度しかなく、ここから人件費、活動費、そしてインフラ開発費などの全ての予算を捻出することになる。また、バランガイ予算の10%は自動的に青年議会(SK)に配分される。一方、マニラ首都圏の10万人以上の人口を抱えるバランガイでは年間予算が2500万ペソ(5000万円)にも上り、これは農村地域の町予算よりも大きい。また、その10%にあたる250万ペソ(500万円)の予算が与えられる青年議会は農村バランガイよりも大きなお金を管理することになる。

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Photo by Keith Bacongco

バランガイ選挙


これら予算を管理し、自治を行うバランガイ・キャプテン(1人)、バランガイ議員(7人)と青年議会議長(1人)・青年議会議員(7人)は基本的に4年に一度の選挙で選出されることになっているが、バランガイ選挙は延期されることも多いので、実際にはちょうど4年毎というわけでもない。また、選挙で選出される議員の他に、事務局長、会計役などを置き、行政サービスを担う組織としてバランガイ・ヘルス・ワーカー(保健婦)、バランガイ・タノッド(自警団)などがある。

バランガイは住民にとって、特に、農村地域の住民にとっては一番身近な生活に密着した政府なので、バランガイ役員を決める選挙は白熱する。特に、バランガイ役員のなかでも、長であるバランガイ・キャプテンには権限が集中するため、バランガイ・キャプテンが有能であるかどうかは住民にとって非常に重要なこととなる。一般的に有能なバランガイ・キャプテンとは地域に政府のプロジェクトを誘致する能力があり、なおかつ、便益を公平に配分してくれる人格を指す。年間予算100万ペソ程度では地域のインフラ整備などできないから、実際には上級機関(町・州)や、国会議員のもつ地方開発予算(ポークバレル)にアクセスすることによって村内のインフラ整備は行われる。一方で、こうしてもたらされるプロジェクト予算から一定の割合を自分のポケットに納めてしまうバランガイ・キャプテンがいることも事実であり、村の発展を目指す候補たちと自分の権力欲と懐を潤したい候補たちが共に立候補するのがバランガイ選挙なのである。
posted by philnews at 20:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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