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フィリピン英会話ネット
2010年05月25日

アリ(蟻)がパソコン(PC)を壊す!

毎回大変美しい写真が掲載されている「フィリピンの日々[Days Philippines]」に「我が家のNPA」という記事が掲載された。

主題はNPA(新人民軍)についてではなく、電子機器に集まるアリをそう表現したものなのだが、実は筆者もアリによる被害は数多くある。これまでPC(パソコン)のキーボードやラジカセ、そして目覚まし時計の中にアリの巣を作られ壊された。一番怖い思いをしたのは、部屋の電気スイッチの裏に巣を作られ、それが原因で回路がショートしたときだった。こればかりは下手をすると火事になっていたかもしれない。

ant 01.jpg
photo by viamoi

電子機器に集まる蟻(アリ)


アリのことはずっと気になっていたのだが、これを機会に少し調べてみた。するとアリによるパソコン被害などは東南アジアに居住する人たちのブログでチラホラ報告されている(蟻が、蟻が・・・ 蟻が!!!
)(SOS! パソコンからアリが大量発生)そして、どうやら一番詳しい専門家による記事(サイト)を見つけることができたので、紹介したい。
昭和50年前後に西日本を中心に、鉄道の信号機の故障が多発し、列車の運行に重大な支障が起きたことがありました。信号機を作動させ る装置は線路脇に設置されていて、中にリレー装置があり、信号電流に応じて信号燈を点滅するようになっています。この装置の中にルリアリが入り込み、リ レーが下がった時に挟まれて潰れ、信号電流が流れなくなったために生じた故障でした。(アリQ&A Q20-3

記事を読むと、日本でも昔から野外に設置された鉄道の信号機、公衆電話、そして時計などが度々アリの被害に遭っていた事が紹介してある。その仕組みはというと
電子機器を搭載した精密機械の中にアリが住みついて、アリの出す食べかすや分泌物のために電子回路が破壊されたり、機械の部 品の間にアリが挟まって電流が通りにくくなったり、部品が機能しなくなったために生じた故障(アリQ&A Q20-3)

だということだ。

アリがパソコンに巣を作る


そして電子機器の中にアリが住み着く理由は
このような電子機器の故障の原因になるアリは、ほとんどの場合ヒメアリとルリアリです。これらのアリは、自然状態では関東以南の温暖 な地方の人家の周りにある枯草や枯れ枝の茎に小さな穴を開けて巣にしていますが、家の中にも入り込む性質があります。一昔前までは、家に入っても壁と柱の 隙間などに巣を作る程度でしたが、最近急速に電子機器が小形化して一般家庭に普及したため、アリの格好の住みかになったようです。(アリQ&A Q20-3)

とある。つまり、どうやらアリは餌を目当てに集まってきているわけではなく、まさに巣を作る目的で最初からやって来るようだ。但し、単に巣にするだけかというと、そうでもなく「部品の潤滑油として植物性のひまし油などを 使用している場合、それはアリの好物なので、アリを引きつける働きがあります」(アリQ&A Q20-3)とのことだ。しかし、そもそもどうやってあれだけ多くのアリがPCをはじめとする電子機器へ集まるのかと言うと
これらのアリは、普段家の中に斥候アリがウロウロしていて、巣に都合の良い場所を探しています。その内の1匹がたまたま巣として絶好 の場所を探し当てると、そのアリはお尻から道しるべになる臭い物質を出して巣まで戻ります。すると仲間のアリ達がその臭いの道をたどって一斉に新しい巣に 引っ越してきます。引っ越しにかかる時間は、数時間かせいぜい一晩です!(アリQ&A Q20-3)

斥候部隊!これはまさにNPA(新人民軍)じゃないか!!(笑

記事からすると、どうやらフィリピンで多くの電子製品に被害を与えているのはヒメアリの仲間だと推察できる。対策としては「アリに一度取りつかれたら打つ手はありません。大事なことは、電子機器に侵入されないようにあらかじめ対策をたてることです」とあるので、本当、どこまでもNPAだなあと「フィリピンの日々」の記事のネーミングに敬服した。

【参考】
日本産アリ類画像データベース アリQ&Aコーナー
posted by philnews at 19:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2009年12月21日

フィリピンのスイカ

クリスマスも近づいたこの時期、フィリピンはスイカ(Pakwan)の季節の到来である。





フィリピンのスイカ(西瓜)はバターン(Bataan)、ブラカン(Bulacan)、パンパンガ(Pampanga)、タルラック(Tarlac)、ヌエバ・エシハ(Nueva Ecija)、リサール(Rizal)、バタンガス(Batangas)、ラグナ(Laguna)など中部ルソン地域を中心に広く栽培されている。

多くはコメの収穫後に裏作として栽培されるので、作付けは10月以降となり、生育には約2ヶ月半かかるので、収穫は12月半ば以降となる。一方、スイカの値段は需要と供給で大きく変動する。クリスマス・シーズンのこの時期、例年スイカの市場価格が最も高騰するのだが、1月に入ると供給が急激に増加するのに合わせ値も急激に下がる。軽く半値にはなるだろう。

外部者から見れば「だったらどうして一ヶ月前に作付けしないのか?」と疑問に思うのだが、農家には農家なりの事情があるのだ。

スイカはコメの収穫後に植えつけるものだが、10月中に収穫を終える田はそれほど多くないこと、稲の収穫から出荷まで、それにスイカ栽培のための土地の準備にも時間がかかることから、多くの農家ではスイカを植えつける中心は11月以降となる。また、スイカは水に弱いので台風シーズンでもあり、雨季も完全には終わっていない10月はまだ危険な時期なのだ。小資本の農民が多いことから、2倍の利益を追求するより、リスク回避が先行するのかもしれない。

pakwan 02.jpg

フィリピンのスイカ(Pakwan/西瓜)栽培は重労働


ところで、スイカ栽培は重労働である。

田植えが終わればそれほど手間のかからないコメと違って、スイカ栽培には毎日の水遣りが欠かせない。スイカ栽培は乾季に行われるのだが、フィリピンでは灌水を手で行う。早朝4時には起き出して、一つ一つの苗にバケツと手桶で水を遣るのだ。また開花時期には受粉作業も伴う。こうした作業だけで一日4-5時間は費やすのが常だ。その他、病虫害防除のための農薬散布作業も他の作物と比べれば頻繁に行われる。(注:これらは地域差があるかもしれません)

つまり、スイカ栽培は稲作よりもより大きな資本と労働力投入を必要とする。その上、価格変動が激しいから、かなりギャンブル性の高い農業とも言える。

とはいっても、これまで灌漑設備の整っていない地域ではコメの裏作としてモンゴ豆やサツマイモしか作付けされていなかったわけだから、スイカのような商品作物の栽培が拡がったことはフィリピン農業の発展と言えるだろう。今後、水遣りの自動化(多分、チューブ灌水ができるんじゃないだろうか?専門の方、ご意見いただければ幸いです)などが進めば、フィリピンのスイカ栽培はより高度なものになるかもしれない。





注:画像は全てイメージです。フィリピンのスイカではありません。
posted by philnews at 22:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2009年12月18日

フィリピンのインフレターゲット政策

フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas:BSP)は12月16日、経済の成長を加速するため、政策金利を低金利に維持することを発表した。

「政策金利決定会合の決定は現在の金融政策が適切であるとの判断に基づいて行われた。政策金利の据え置きはさらなる投資と借り入れを促進するだろう。」と中央銀行総裁アマンド・テタンコJr.(Amando Tetango Jr.)氏は、会合の後に述べた。

2008年12月から2009年7月まで、中央銀行は翌日物政策金利を歴史的低水準である4%-6%に引き下げている。

この低水準の政策金利は市中銀行の貸出金利を低下させる効果があり、貸し出しを増加させることに貢献する。金融当局はこの低金利が消費と投資を促進し、経済成長を加速させる助けになるだろうと語った。

さらに、現段階では、金利の上昇は経済の回復を阻害するため、中央銀行がこの低金利政策を反転させる要因は存在しないと述べた。

中央銀行の試算によると、今年のインフレ率は平均3.3%であり、来年は4%になると予測されている。これは、政府のターゲット・レンジである2.5-4.5%(今年)、3.5-5.5%(来年)に収まるものと考えられる。

テタンコ総裁は「インフレは許容レベルにあり、インフレ率が政府のターゲット・レンジに収まる限り、中央銀行は低金利政策を維持する」と述べた。

【出典】BSP keeps key rates low

Bangko Sentral ng Pilipinas.jpg
フィリピン中央銀行(BSP)

上の記事の通り、フィリピンではインフレターゲット政策(Inflation-targeting Policy)が採用されており、消費者物価指数(CPI)を指標として政策金利が決定されている。

フィリピンのインフレ・ターゲット政策は、政府の開発予算調整委員会(Development Budget Coordinating Committee :DBCC)が消費者物価指数(CPI)を基準として2年先までの目標インフレ率を定め、中央銀行(BSP)が目標インフレ率を宣言、目標達成のための金融政策について完全な決定権を持ち、実施するというものだ。インフレ目標には即時性の高さからCPIが使用されているものの、中央銀行はコアCPIも参考にする。

DBCCは国家経済開発庁(National Economic and Development Authority)に設けられた委員会であり、財務省長官(Department of Budget and Management)を委員長とし、NEDA長官を副委員長、金融省長官(Department of Finace)および中央銀行総裁を委員とした4省庁の長官で構成される政府委員会。ここでは国家のマクロ経済指標の目標が設定され、それを達成するための政府支出額と配分、そしてインフレ目標についての検討を行い、大統領に答申する役割を持つ。

【参考】Measurement of Inflation and the Philippine Monetary Policy Framework
www.bsp.gov.ph/downloads/EcoNews/EN09-04.pdf

Philippine Peso.jpg
フィリピン・ペソ

以上のように、フィリピンではインフレ率が許容レベルを超えて上昇しないよう、そして、目標値以下に落ち込まないように2002年からインフレ・目標政策が採用・実施されている。その際、インフレ目標を定めるのは政府(中央銀行も委員として協議に参加)であり、目標達成するのは中央銀行であるという鉄則も守られている。

世界でインフレ目標政策が採用されている国(2006年時点)はハンガリー 、スロバキア 、コロンビア 、チェコ共和国 、グアテマラ 、ペルー 、ルーマニア 、セルビア 、タイ 、オーストラリア 、ブラジル 、カナダ 、チリ 、アイスランド 、イスラエル 、韓国 、メキシコ 、ニュージーランド 、ノルウェー 、フィリピン 、ポーランド 、南アフリカ共和国 、スウェーデン 、トルコ共和国 、イギリス と、先進国、旧共産主義国、北欧諸国、そして途上国と多く、EUもインフレ参照値2%未満として実質的なインタゲ政策を採用していると見ることができる。

そうすると、インタゲを採用していないのは、OECD諸国の中では日本とアメリカだけということになり、なおかつ、アメリカはデフレ退治に躍起となるFRBのバーナンキ議長により大幅な金融量的緩和政策が実施されていることは周知の通りだ。

こうした各国の中央銀行と日本銀行(日銀)の政策の違いが、日本だけこの17年間、少しも経済成長していない(「日本経済 過去20年の推移」「日本とフィリピンのGDP推移」)という事態を生み出したのだろう。

【参考】各国のインフレ目標政策とその効果DeLTA Function


posted by philnews at 12:33 | Comment(5) | TrackBack(0) | フィリピン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2009年12月14日

ミンダナオ島の武装勢力



今回の事件は武装集団Lumadnong Pakigbisog sa Karaga (Lupaka:カラガ・ルマドの闘い)に属する2グループ間の対立が原因だったとされている。事件の首謀者オンド・ペレス(Ondo Perez)によると、対立グループにより彼に掛けられた殺人の告訴取り下げが人質解放の条件であり、それを認められたための解放となった。ペレスのグループは対立グループのリーダー ジュン・トゥバイ(Jun Tubay)との間に土地争いを抱えており、これまでに両グループ間の抗争で30人が死亡しているとのことだ。

武装集団Lupaka(ルパカ)は80年代に反政府勢力として結成され、誘拐事件を起こすなどしていたが、国軍の介入により2001年に正式に解体されていた。しかし、武器の回収はできていなかった。

それにしてもミンダナオ島の情勢は複雑でわかりづらい。現地紙に目を通していても、どの地域でどの勢力が問題の背景にいるのかがなかなか釈然としない。

まず、ミンダナオ島には南西部を中心に多くのイスラム系フィリピン人(モロ、ムスリム)が住んでいる。フィリピンのイスラム教人口は全人口の5%(約500万人)、ミンダナオ島人口の2割と見られるが、その多くがこの地域に住んでおり、「マギンダナオの大虐殺」があったマギンダナオ州などはその中心で、周辺6州がイスラム教徒ミンダナオ自治地域(Autonomous Region in Muslim Mindanao, ARMM) に加盟している。MILF、MNLF、アブサヤフを構成するのはイスラム系住民である。

そして、イスラム系以外にもミンダナオ島には先住民族が多い。これら先住民族はルマド(Lumad)と総称されるが、イスラム系住民がミンダナオへ渡ってくる前からフィリピンにいた民だと考えられており、イスラム教にもキリスト教にも改宗しなかった人たちで、大きな集団だけでもマノボ族、チボリ族など13民族いる。今回の事件を引き起こした武装集団はマノボ族によって構成されていた。

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第一回ミンダナオ先住民会議 photo by Keith Bacongco

一方、ミンダナオ島の最大人口を占めるのはキリスト教徒である。これはイスラム教、アニミズムから改宗した者および、ビサヤ諸島からミンダナオへ移住してきた者が構成している。特に、戦後、ビサヤ地域から大量に移住してきた住民と先住民の間での土地争い・摩擦が絶えない。

また、ミンダナオ島は広大で、自然資源、鉱物資源が豊富なことから、戦後、多くの鉱山企業、伐採企業、プランテーションなどが次々と進出した。その際、先住民族やイスラム教徒の土地を二束三文で手に入れ、住民を追い出すことが多く見られた。そして、これは過去の話ではなく、現在も続いている。

鉱山企業の進出に対しては先住民族から強い反対運動が起こることが常なのだが、政府・軍はこれをフィリピン共産党・新人民軍による扇動と見なして潰しに掛かる。その際、軍は先住民族の村へ常駐し、住民に対して尋問・査問を繰り返し、新人民軍につながりのあるゲリラだと見なし超法規的に暗殺してしまうこともある。

また、政府は直接国軍および警察により秩序維持活動を行うだけでなく、民兵組織を組織し、反対住民と対立させる。国軍が組織した民兵組織をCAFGU、警察が組織した民兵組織をCVOと呼ぶのだが、マギンダナオの大虐殺を遂行したとされるアンパトゥアン一族が組織した民兵組織はCVOを中心としたものだったことは記憶に新しい。

つまり、ミンダナオ島にはキリスト教徒、イスラム教徒、先住民族がいて、政府勢力と反政府勢力、進出企業と反対住民、武力闘争と非暴力運動などが入り乱れている。武装勢力だけに限定すると

政府側
国軍:Armed Force of the Philippine(AFP)
国家警察:Philippine National Pollice(PNP)
CAFGU: Citizen Armed Forces Geographical Unit
CVO:Civilian Volunteer Organization
MNLF:Moro National Liberation Front: モロ民族解放戦線
たまに米軍

反政府側
MILF: Moro Islamic Liberation Front: モロイスラム解放戦線
アブサヤフ:Abu Sayyaf Group(ASG)
新人民軍:New Peoples Army(NPA)
先住民族武装勢力
たまにJI(ジェマ・イスラミア)

となる。そして、これら政府対反政府の武力衝突が起こるたびに多くの国内避難民が発生している(2000年100万人、2003年40万人、2008年50万人)。



政府とMILFの間で署名される予定だった和平合意は2008年8月に最高裁によって違憲として破棄されてしまった。これにより、ミンダナオ島の平和はますます遠のいたと言えるだろう。



【参考】
42 Agusan hostages freed
Regime’s Counter-Insurgency Campaign Drives Mindanao Lumads Homeless
posted by philnews at 00:27 | Comment(4) | TrackBack(0) | フィリピン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2009年11月16日

フィリピンの男女格差・ジェンダーの問題



世界男女格差報告書


世界経済フォーラム(WEF)による2009年の世界男女格差報告書(Global Gender Gap Report)が発表された。それによるとフィリピンの男女平等度は世界第9位。上位には北欧諸国が並んだ。

世界男女格差報告書は経済参加率と機会、教育達成度、健康と生存、政治的能力の4分野14項目を指数化したものを順位付けしたもので、それによるとフィリピンは経済参加率と機会が11位、教育達成度が1位、健康と生存が1位、政治的能力が19位となっている。

特に注目すべき項目は教育達成度において、小学校から大学までの全期間にわたって女性の就学率が男性の就学率を上回っており世界1位となっていること、そして、より注目されるのは、管理職に占める男女比が男性43%、女性57%と女性の方が上回っていて世界一位、また、専門職に占める男女比も男性37%、女性63%と女性が上回っていて、同じく世界一位ということだろう(注:世界ランクに関しては一定の基準を満たすと一位とされるので、本当にフィリピンが世界で一位というわけでもない)。

一方、北欧と比べて劣っているのは国会議員に占める女性の割合が2割に留まっていること、閣僚に占める女性の割合が1割に過ぎないことなど政治的能力の分野と、労働参加率が女性51%、男性82%と、女性の労働参加率が大幅に小さくなっていることが順位を押し下げている。

世界男女格差報告書ではこうした男女格差と経済競争力との間に相関関係があるという結論を統計的に導こうとしているのだが、グラフを見る限り、いくつかの貧しいイスラム諸国が男女平等度と国際競争力の両者ともに低いこと、そして、北欧諸国が男女平等度と国際競争力が共に高いということがわかるくらいで、男女平等度の高いフィリピンの国際競争力はきわめて低いレベルに留まっている。つまり、男女平等度と国際競争力の間に相関関係があるとする分析はきわめて恣意的だといえる。

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photo by counting chest bullets

フィリピンのジェンダー


さて、それにしてもフィリピンの男女平等度は高い。これは事実である。この原因には大きく2つあると考えられる。まず一つ目は、フィリピンがそもそも双系制社会だったことである。双系制社会では子どもは父親と母親双方の資産を男女に関わり無く均等に相続する。そもそもが男だから、女だからという区別が相続の段階にさえ存在しないのである。これは基本的に長男が一人で全財産を相続するものとされた日本のような社会規範と根本的に異なり、ここから派生する社会一般での「男だから」「女だから」という社会観念も異なるものとなったと考えられる。

そして2つ目がより重要なのだが、フィリピンでは男女格差以上に階級格差とでも呼ぶべき経済格差(貧富の差)が大きいことである。

男女格差報告書の中で、フィリピンでは管理職を占める女性の割合が男性よりも高いことが示されているが、では、管理職女性の家では誰が子どもの面倒を見ているのか?誰が家事を行っているのか?これはほぼ間違いなくヤヤやメイドと呼ばれるお手伝いさんであり、そのほとんどが貧しい家庭出身者だと考えて良い。これが日本だと、相当な上流家庭でなければメイドなど雇えない。しかし、フィリピンでは一定以上の中流家庭が普通にヤヤやメイドを雇用しているから、男女に関わり無く育児・家事から免れ、外で働ける。

フィリピンの男女平等の真実


つまり、フィリピンでは貧富の差を利用することにより男女格差を埋めている。それがフィリピンの男女平等の真実だ。

にもかかわらず、欧米を中心とする援助国はフィリピンに対してさえ男女平等を推奨している。例えば、フィリピンでは女性管理職の方が男性管理職よりも多い社会だと述べたが、そのフィリピンでさえ政府機関の一部には管理職登用にあたっての「女性優先ルール」が採用されていたりするのだ。もちろんこれは欧米諸国によって推奨されたものをフィリピンが採用したからだ。

また、援助プロジェクトでも男女格差解消を目的とするものが数多く実施されている。貧しい農村へNGOのスタッフがやってきて、「この村で男女格差解消プロジェクトを実施しましょう」なんていうのは日常茶飯事だ。なぜなら、そうしたNGOは国際機関から男女格差解消(ジェンダー)のための予算を獲得しているからである。

繰り返すが、フィリピンでは貧富の差を活用して男女格差を埋めている。にもかかわらず欧米諸国はフィリピンに貧困解消のための予算でなく、男女格差解消のための予算を配布しているのである。

ある人が抱える困難が、女性であるからなのか、貧困家庭に生まれたからなのか、それともフィリピンに生まれたからなのか。それを考えれば、必要なのは男女格差の解消なのか、貧富の差の解消なのか、国全体の経済発展なのかがわかるだろう。

【参考】World Economic Forum
posted by philnews at 21:11 | Comment(5) | TrackBack(0) | フィリピン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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