アロヨ大統領は2001年のピープルズ・パワー2で、エストラーダ前大統領を引き摺り下ろすことにより成立した大統領だが、その後、すこぶる評判が悪い。2004年の大統領選挙では、収監されていたエストラーダの代わりに出馬した人気俳優のフェルナンド・ポー・ジュニア(FPJ)に本当は負けていたにもかかわらず、票数を操作することにより勝利したと信じられている。
また、エストラーダが政権を追われたのは汚職が原因だったが、アロヨ大統領もそれに劣らぬほどの汚職に手を染めていると言われている。その上、アロヨ政権成立後に逮捕・裁判を経ることなく殺害された活動家の数はあの、独裁政権で有名なマルコス時代に匹敵するとも見られている。
これまでも反アロヨ派による弾劾活動は数度に渡って行われてきたものの、アロヨ政権はびくともしない。それは、国軍を掌握しているからだ。1986年のピープルズパワーも、2001年のピープルズパワー2も、いくら民衆の力に見せかけようとも、最終的には「どちらが国軍を握ったか?」の一点で勝負がついた。
フィリピンは今、来年(2010年)に予定された選挙に向けて激しく動きだしている。今度の選挙では公正な選挙が行われ、正しい大統領が選ばれることを願う。
【参考】
フィリピンの政治的殺害
巨額汚職疑惑続くフィリピンで「汚職摘発連合」結成 ピープル・パワー新展開に期待