中国艦隊 沖縄本島と宮古島の間を通過
中国艦隊通過、問題視せず=平野官房長官
平野博文官房長官は13日午後の記者会見で、中国海軍の艦艇10隻が沖縄本島と宮古島間の公海上を通過したことについて「今なぜこの時期にという疑念は抱く」としつつ、「公海上を通っているので、なぜ通ったと言うべきことではない」と述べ、問題視しない考えを示した。
一方で「わが国周辺における外国艦船の動向はしっかりと注視をしなければならない。これからも(同様の事案は)公表していきたい」と語った。(時事通信 2010年4月13日)
公海を通過したのだから文句は言えない。これはこれで国際法上仕方のないことかもしれない。そこで「公海」について調べてみた。
公海の定義
海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)の第86条では、公海について「いずれの国の排他的経済水域、領海若しくは内水又はいずれの群島国の群島水域にも含まれない海洋のすべての部分」としている。公海では航行の自由、人工島敷設の自由、漁業活動の自由などが認められている。
次に、海上保安庁のサイトで日本の領海について確認してみると
日本の領海等概念図

ん?沖縄本島と宮古島の間に公海など存在しない。
つまり、この報道にある「公海」、平野官房長官のコメントにある「公海」という概念は国際法や日本政府(海上保安庁)の定める定義としての「公海」とは全く別の何物かであるらしい。
いや、一言でいうと誤りなのだ。
誤報か印象操作か?
上の地図を見ればわかるように、今回、中国艦隊が通過したのは日本の排他的経済水域内であり、決して公海ではない。それを公海と言い切ったのが日本政府の代表たる官房長官のコメントだった。
どうやら、今回の報道ならびに官房長官のコメントは明らかに情報操作・印象操作と言えるようだ。公海と聞けば、じゃあ仕方ないかという印象を受けるが、これが排他的経済水域と聞けば、日本によりかかわりがあるという緊迫感が伝わるからだ。
中国はフィリピンからの米軍基地撤退(91年)後、フィリピン等が領有権を主張するスプラトリー諸島(南沙諸島)を実行支配した。地図で確認すればわかるが、スプラトリー諸島は中国本土ととても離れたところにある、フィリピン・パラワン島の西にある島々であるのにだ。

スプラトリー諸島(南沙諸島)
実は昨年も中国は沖ノ鳥島近海(日本のEEZ内)で軍事演習してるし、その前には 海洋調査までしてるみたいだから、軍事バランスが崩れれば、沖ノ鳥島が中国に実効支配されないという保証はない。ちなみに中国は沖ノ鳥島を「岩」だと主張し、日本の排他的経済水域に異議を唱えている。MNS産経ニュース09年7月16日
日本の排他的経済水域を通過した中国艦隊
今回、日本の排他的経済水域を通過したのが確認された中国艦隊は以下の10隻である。
ソブレメンヌイ級2隻、
ジャンウェイU級1隻、
ジャンウェイT級2隻、
キロ級潜水艦2隻、
フーチン級補給艦1隻、
ダーラン級潜水艦救難艦1隻
トゥーヂョン級艦隊航洋曳船1隻
防衛省・統合幕僚監部の資料(PDFファイル)をダウンロードすると、艦船の写真も見ることが出来る。
どちらにしろ、普天間基地の移設問題で揺れている時期に中国が日本を刺激するような行動に出たことは謎ではあるものの、政府が国民に誤った印象を与えるためにわざわざ排他的経済水域を公海と呼び変えていたことは疑いようの無い事実のようだ。このようにして政府・マスコミによる国民への印象操作は行われているんだなあと確認のできた一件ではある。
ちなみに、日本政府が排他的経済水域を「公海」と呼んだものだから、さっそく中国政府にこの発言が逆手に取られているようだ。
近接飛行、「公海だ」=中国
【北京時事】中国外務省の姜瑜副報道局長は13日の定例会見で、中国海軍の艦艇から発艦したとみられるヘリコプターが海自護衛艦に接近して飛行したことについて、「具体的な状況は承知していないが、報道によると公海だった」と述べ、問題はないとの見解を示した。
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