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フィリピン英会話ネット
2010年07月14日

フィリピンに台風2号 上陸中



台風2号(アジア名:コンソン、現地名:バシャン)がフィリピンに勢力を強めつつ上陸中。家の外でも台風特有の強風が吹き、木々をしならせ始めた。

気象庁(Pagasa)によると台風は13日深夜から14日早朝にかけてルソン島中央部に上陸し、14日午後にはシナ海へ抜けていくことが予想されている。

basyang.jpg
台風2号 予想進路

台風警報の発令された地域は以下のとおり(フィリピンでは台風警報をシグナルNo.1からNo.4(最大)の4段階に分けている。各警報レベルの詳細はココに詳しい)

シグナルNo.3
オーロラ州(Aurora)、ケソン州北部( Northern Quezon)、ポリリオ島( Polilio Island )および北カマリネス州( Camarines Norte )

シグナルNo.2
イサベラ州(Isabela),ヌエバ・ビスカヤ州( Nueva Viscaya)、ヌエバ・エシハ州( Nueva Ecija)、キリノ州( Quirino)、ブラカン州( Bulacan)、リサール州(Rizal)、ラグナ州(Laguna)、ケソン州南部(Southern Quezon)、マリンドゥケ州(Marinduque)、南カマリネス州(Camarines Sur)およびカタンドゥアネス州 (Catanduanes)

シグナルNo.1
カガヤン州( Cagayan)、カリンガ州( Kalinga)、マウンテン州(Mt. Province)、南イロコス州(Ilocos sur)、ラ・ウニオン州(La Union)、ベンゲット州(Benguet)、イフガオ州(Ifugao)、パンガシナン州(Pangasinan)、タルラック州( Tarlac)、サンバレス州( Zambales)、パンパンガ州(Pampanga)、バターン州(Bataan)、カビテ州( Cavite)、バタンガス州(Batangas)、アルバイ州(Albay )およびメトロ・マニラ全域

台風の通過する地域および南側にあたる地域は強い雨が予想される。低地および崖の側に居住する住民は、洪水と崖崩れに備えることが推奨され、また海岸付近の住民は高波に注意する必要がある。

今回の台風は、現時点では大型台風ではないものの、昨年、メトロマニラを襲い歴史的な被害をもたらした台風16号(現地名:Ondoy)も日本の新聞では「熱帯低気圧」と表現されるものだった。昨年は、台風16号とその直後の17号の2つだけで1000人以上の犠牲者を出し、930万人が被害を受けた。

油断は禁物だろう。

【参考】
‘Basyang’ now a typhoon, signal no. 3 over 5 areas
フィリピンの暴風警報シグナル
タグ:台風
posted by philnews at 01:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピン台風・洪水 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年07月07日

「失われた20年」と「失われた3200兆円」

この20年間、日本を除く先進国は年平均4%程度の名目成長をしてきた。その間、日本の名目成長率はほぼゼロ。日本も一定程度の実質成長を達成していたにも関わらず、デフレが見事にこれを相殺してきたのだ。

GDP G7.jpg
名目GDP成長の国際比較

日本のGDPは1000兆円


IMFの統計によると、1990年の日本のGDPは439兆円。そして2010年のGDPは475兆円程度になると見られる。仮に、他の先進国と同様に1990年から20年間年率4%の名目成長をしていたと仮定すると

439兆×1.04^20 = 439兆 × 2.19 = 961兆円

現在の日本のGDPは約1000兆円となる。もしも現在の名目GDPが1000兆円もあれば、800兆円といわれる債務問題はGDP比80%となって大した問題ではなかったことがわかる。しかし、デフレにより名目成長を行わなかったツケはこんなものではない。債務問題については「国民一人当たり800万円の借金」などといって大騒ぎをしているが、デフレにより日本は、桁違いの損失を生んでいるのだ。それは、この20年間に生み出されるはずだった付加価値を喪失したことである。

「失われた3200兆円」


この20年間で生み出されるはずだった付加価値の合計額は等比数列の和(等比級数)として簡単に求められる。以下の公式に当てはめれば良い。

Sn = a(1-r^n)/(1-r)

ここで 

初項 a = 439兆円
公比(成長率) r = 1.04
項数(期間) n = 20年

をあてはめると

S20 = 439兆×(1-1.04^20)/(1-1.04)
=13,060兆円

これにたいし、実際に生み出された付加価値額(名目GDP)の合計は9,858兆円だった(1990年から2009年までの名目GDPの単純な和)。つまり、年率4%の名目成長をしていた場合と、デフレにより名目成長を打ち消してきた現実の日本を比べると

13060兆 − 9858兆 = 3202兆円 の付加価値が実現されなかったということになる。

日本人口は約1億2700万人なので、これを国民一人当たりに直すと

3202兆円 / 1億2700万人 = 2521万円

なんと、国民一人当たり約2500万円も喪失した計算だ。4人家族なら1億円を稼ぎ損ねたのだ。

Factory.jpg
Photo by E2-E4

デフレによる損失 一人当たり2500万円


このブログで何度も書いてきたように、デフレ不況から脱却するために有効な政策を発動できるのは政府・財務省(財政政策)と日銀(金融政策)のみである。個別企業や個人の合理的な努力は無力なのだ。にもかかわらず、日本はこの20年間、財政支出の拡大が必要な時には「財政再建」を目指して増税・歳出削減を行い、また、ようやくインフレ率がマイナスからプラスへ転じようとすると金融引き締めを行いデフレに引き戻すという、信じられないような財政政策と金融政策を繰り返してきた(日本経済 過去20年の推移)。

その結果が「失われた20年」であり「失われた3200兆円」なのである。

そして、その「失われた3200兆円」の内実が、企業業績の悪化、企業の倒産、失業率の上昇、賃金水準の低下、正社員から非正規社員への置き換え、大卒就職率の低下、自殺者数の増加なのである。こうした問題は他の国なみの普通の経済成長さえしていれば起きなかったことばかりだ。

にもかかわらず、日本では「もう経済成長はいらない」とする言説がまかり通り、または「最近の若者は努力が足りない」と若年層の失業問題を個人個人のミクロの問題へと還元するシバキ主義が横行している。そして、誰もこの「失われた3200兆円」を生み出した張本人である政府・財務省・日銀(そして何も言わない経済学者)への批判や怒りとしてぶつけないようなのだ。

2500万円も盗られたら、普通、誰だって怒るはずなのに・・・・


【参考】IMF: World Economic Outlook Database

【関連】
債務残高の国際比較
日本経済 過去20年の推移
日本とフィリピンのGDP推移
G20で財政赤字半減を合意
posted by philnews at 22:50 | Comment(8) | TrackBack(4) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年07月01日

G20で財政赤字半減を合意(日本は例外)

カナダ・トロント(Toronto)で開催された20か国・地域(G20)首脳会議(金融サミッ ト)では2013年までに先進国は財政赤字を半減させるという方針が合意された。但し、日本はこの方針を適用除外されたということである。

これについて日本のメディアは「「例外扱い」は恥ずかしい」(産経)とか「日本こそ必要な危機感」(毎日)とか、まったく見当違いの反応をしている。

しかし、さすがに世界はよくわかっている。日本は財政再建なんかしている場合ではないってことを。

債務を10%軽減する方法


例えば、日本のGDPを500兆円、債務額を800兆円とする。財政の持続可能性で重要なのはGDPに対する債務比率だから、GDPに対する債務比率を10%低減することを考えよう。

これを債務返済で行おうとすると、80兆円返済する必要があり、この80兆円は増税と歳出削減を財源とする必要がある。一方、分母にあたる名目GDPの成長で行おうとすれば、年率3%の成長を3年続ければおしまいだ。

3年間で80兆円分の債務返済を行うことと、3年間、年率3%の名目成長を続けることの意味が同じ。にもかかわらず、日本は、この20年間に渡って「人為的に」成長率をゼロに抑えてきた。インフレ率がマイナスからプラス域へ転じようとするたびに日銀が金融引き締めを行って、またデフレへと引き戻してきたからだ。(参考)

money01.jpg
photo by _Teb

リフレ政策によるデフレ脱出こそが急務


そうした日本に課せられたのが他国と同じ「財政赤字の半減」でなかったことは当然といえる。他国の場合、すでに名目成長率は十分に達成しているので、あとは財政赤字の削減しか手がない。しかし、日本の場合はデフレをインフレへ転換させる(リフレ政策)だけで債務比率の軽減ができてしまう。増税・歳出削減なんかしてデフレ不況を深刻化させれば、それこそ取り返しがつかないのだ。

つまり、同じ債務問題、財政再建とはいっても、日本と他の先進国では処方箋は異なるのである。日本がやるべきはまず、リフレ政策によるデフレ不況からの脱出なのである。

【参考】債務残高の国際比較
日本経済 過去20年の推移
posted by philnews at 01:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年06月07日

菅直人


菅直人が首相に就任した。これからは内閣総理大臣菅直人である。

市民運動家から総理大臣へ


筆者が菅直人の名前を最初に目にしたのは、70年代後半。当時、菅直人は「週刊プレイボーイ」に市民運動家として連載を持っていた。まだ彼は国会議員にもなっていなかったが、将来、必ず日本を変えると意気込んでいた。

菅直人が一躍有名になったのは96年、自社さ連立の橋本内閣で厚生大臣に任命され、薬害エイズ問題に取り組んだ時。それまでないと言われていた資料が菅直人大臣の指揮により発見され、行政の責任が明確化した。その後の「かいわれパフォーマンス」なども含めて、大衆の人気を集める新しいタイプの政治家(ポピュリスト)として評価が定着していった。筆者も、ああ、あの菅直人は本当に日本を変える人なんだなあと感心したものだ。(菅直人をポピュリストとする論評についてはこちらを参照

民主党結成後は、鳩山、岡田、前原、小沢らと代表をローテーションしており、今回で民主党代表就任は5度目となる(旧民主党含む)。その間の政権交代により、いまや民主党は第一党。そして、菅直人はとうとう内閣総理大臣に上り詰めた。

一介の市民運動家が総理大臣になったことは大きい。社会を変えるという意思が、いまや権力を伴いそこにあるということだからだ。

但し、もちろん手放しで褒められるわけではない。

kan naoto.jpg
菅直人 Photo by h yamamoto


市民運動の問題点


90年代以降の市民運動のフレーズの一つは「オルタナティブ」である。つまり、批判だけなら猿でもできる。問題のある現状にとって代わる対案を出すことこそ重要だという考えだ。(オルタナティブ(代替案)を提唱しているブログについてはこちらを参照

しかし、残念なことに、筆者はこれまでオルタナティブを提出できている市民運動に遭遇したことがほとんどない。市民運動の99%までは結局のところ「批判」「批判」を繰り返すか、トンデモ・オカルト理論を駆使しているに過ぎない。いや、それどころか、2000年以降の市民運動の問題点は「左翼と体制派(権力)が結託し、市民の生活を抑圧する」ことである。例えば、環境問題、例えば児童ポルノ問題、例えば禁煙運動、そして女性の人権(フェミニズム)運動、そのどれもが体制派と結託し、リベラルな自由空間を抑圧する動きとなっているではないか?市民運動はとっくに新局面に入っていたのである。

重要なのは、社会変革への意思はいまや権力を持ったのだから、その権力を用いて、本当に、国民、市民にとって有益な変革を遂行する能力があるか、ないか、である。

菅直人の試金石は経済政策


日本国の内閣総理大臣として、一番重要なのは「経済」だろう。なにしろ日本経済はバブル崩壊後の20年間、先進国の中で唯一デフレ不況が続き、「失われた10年」「失われた15年」そして「失われた20年」と年を経る毎に年数が加算されている。これは笑い事じゃない。その間生み出された膨大な失われた世代、つまり、ロストジェネレーションは、経済さえしっかりしていれば活用できた有用な潜在力を無駄にし、もう、人生を取り戻すことさえできないのだ(ロスジェネ世代の苦難についてはこちらを参照)。他の先進国が普通に達成している年間4%の名目成長を基準にすれば、日本は年間200兆円を失っている。数兆円の税収確保のための増税論議なんてもってのほかである。

経済にたいしては財政政策と金融政策。この2つの権限は唯一政府が持つ。企業や個人がいくらがんばってもダメなのだ。マクロを変えられる、その権力を託されているのは唯一国家(政府)なのである。

この最も重要な権力を託されたのが市民運動家出身の菅直人内閣総理大臣である。果たして、菅直人は国民、市民にとって有益である、この財政政策、金融政策を正しく立案・実施してくれるだろうか?

【関連】首相交代で希望を取り戻すバラマキ・既得権層と「勝手に期待して勝手に失望する」ことをやめた海外メディアフリーライター宮島理のプチ論壇
日本史上初の理系主導内閣の意義 代替案
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2010年06月04日

フィリピン大統領が辞任しない理由

鳩山由紀夫首相が辞任した。在任期間にして262日、極めて短命政権だった。このところ、日本では小泉首相以降は安倍、福田、麻生、そして鳩山と短命政権が続いているが、フィリピンでは一度大統領に就任すると任期が終わるまで決して辞任することは無い。それどころか、憲法上の規定に基づけば大統領ではありえない人物が大統領を務めたり、中央選管と結託して票の不正操作をしてでも大統領であり続けようとするありさまだ。今回の鳩山首相の辞任によって、アロヨ「大統領」が在任していたこの9年間に日本の首相は6人も存在したことになる。

フィリピン大統領が辞任しない理由


フィリピン大統領が辞任しない理由として一番大きいのは、大統領の利権の大きさだろう。フィリピンの場合、大統領には行政統括権のほか、国軍統帥権、戒厳令発動権、条約締結権、海外からの借款の締結権、予算案を含む法案の拒否権、上級公務員の任命権などあらゆる権力が集中するが、その中でも大統領にとって一番魅力的なのは「金」を左右する権力である。

例えば、フィリピンでは下院議員一人当たり年間7000万ペソ(1億4000万円)、上院議員は2億ペソ(4億円)がPriority Development Assistance Fund (PDAF:優先開発支援資金:通称ポークバレル)として分配される。この年間7000万ペソのお金を議員の裁量で使えることがフィリピンの国会議員の多くにとっての一番の魅力なのだが(執行額の半額が議員のポケットに入るといわれている)、このポークバレル、執行するためには大統領の署名が必要となる。野党に所属し、大統領に嫌われると、国会議員の権力の源泉ともいえるこのポークバレルが執行できなくなる。これがフィリピンの国会議員は常に大統領の与党に乗り換える理由であり、国会議員が大統領に反対しない最大の理由である。フィリピンの大統領はポークバレル分配の権限を握ることにより議会を抑えているのだ(そのため、エストラーダ大統領も、アロヨ大統領も憲法に定めた「国会による」弾劾手続きにより罷免されることがなかった)。

このように本来、予算の作成を行う国会を抑えているので、大統領は憲法で定められた拒否権以上の権力(影響力)を予算案に対しても持つことになる。国家予算の規模は年間1.5兆ペソ(3兆円)だが、この使い道について、国会議員は大統領の意向には逆らわない。もちろん、予算案に限らず、どのような法律に関しても、国会議員は大統領の意向を無視しないだろう。

国家予算以外も大統領の財布


また、大統領のもつ人事権・任命権も金に結びつき、大統領にとって強力な武器となる。人事権は各省庁の大臣・上級公務員レベルだけでなく、政府関係機関の長も任命できるもので、例えばその中にフィリピン宝くじ協会(PCSO)も含まれる。PSCOの売上げは年間500億円程度あるのだが、このうち15%が運営経費、55%が当選金として払い戻され、残りの30%がチャリティー基金として用いられることになっている。つまり、年間150億円がチャリティー基金として様々な目的で使われるわけだが、大統領はこのお金の使い道についても強い影響力を持つことになるのだ。エストラーダ大統領は違法賭博フエテンの上がりをポケットに入れていたことで退陣に追いやられたが、なにも、違法賭博の総元締めでなくとも、公的な賭博の総元締めになれるのである。

philippine president supporting rate.gif
フィリピン歴代政権支持率推移

このように大統領であるだけで、強大な権力・金が手に入るので、フィリピン大統領は支持率がどれだけ低下しても決して辞任などしないのである。

【参考】President controls pork barrel - DBM official
posted by philnews at 03:21 | Comment(5) | TrackBack(0) | フィリピン大統領選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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