スポンサードリンク
フィリピン英会話ネット
2010年04月28日

ノイノイ・アキノで決まりか? フィリピン大統領選挙 世論調査

5月10日に実施が予定されているフィリピン大統領選挙について、4月16日から19日にかけてSocial Weather Station(SWS)によって行われた最新の世論調査の結果が発表された(サンプル数2400 誤差2%)。

それによるとアキノ候補が38%と支持率を維持したのに対して、2位のビリヤール候補が26%と、前回と比べてさらに3%支持率を落としたことにより、その差は12ポイントと前回の8ポイントからさらに開いた。

Philippine Election SWS.jpg
フィリピン大統領選挙 世論調査

候補者支持率


各候補者の支持率は以下の通り

ベニグノ・アキノ上院議員(Benigno Aquino III) 38%
マニュエル・ビリヤールJr上院議員(Manuel Villar Jr.)26%
ジョセフ・エストラーダ元大統領(Joseph Estrada )17%
ギルバート・テオドロJr前国防相(Gilberto Teodoro, Jr.)9% 

ブラック・プロパガンダ合戦


今回の結果について識者はビリヤール陣営から仕掛けられたブラック・プロパガンダが逆効果になったと見ている。ビリヤール陣営はアキノ候補に対して「アキノ候補は重度のうつ病の病歴がある」との発表を行い、「精神疾患を持つものに国を任しても良いのか?」とするネガティブ・キャンペーンを行った。しかし、その際に証拠として示された診断書の信憑性に疑問が投げかけられ、メディアによる取材によると、診断書自体が捏造されたものであり、これはビリヤール陣営によるブラック・プロパガンダであるとの判定が下された。

Noynoy_Aquino.jpg
ベニグノ・アキノ上院議員(Benigno Aquino III)

一方で、アキノ陣営からのビリヤール候補に対するブラック・プロパガンダは功を奏している。出所は明らかでないものの、ビリヤール候補に対して「ビリヤール候補はアロヨ大統領の秘密の後継者である」という噂が流された。これは2月まで高まっていたビリヤール人気を削ぐことに成功し、引き続き効果を発揮している。また、選挙期間中、ビリヤール候補の汚職に関する疑惑が2件問題化された。一つは、首都圏のバイパス道路C5の拡張工事に関わる汚職疑惑であり、もう一つは、ビリヤール候補の所有会社の株式売却に関する汚職疑惑であった。これらのブラック・プロパガンダは着実に効果を上げており、ビリヤール人気は日に日に下落している。

Manny_Villar.jpg
マニュエル・ビリヤールJr上院議員(Manuel Villar Jr.)

世論調査への見解


世論調査の結果について、3位のエストラーダ候補は、内務自治省によって6600人を対象に行われた世論調査では自分は25%の支持率を得ており、1位のアキノ候補(41%)に次ぐ2位であるとして、SWSによる世論調査の信頼性へ疑問を投げかけた。

また、テオドロ陣営も「我々は世論調査の結果を信じていない。世論調査は間違うものだと証明してみせる」と述べ「陣営では(与党の)56人の知事と130人の国会議員から集票の約束を得ている」と自信を滲ませた。

またビリヤール陣営は「陣営には地方レベルから全国レベルまで多くの組織が結集しており、これらの組織票によって世論調査での15%以内の差は跳ね返せる」との見解を示した。

投票日まで2週間と迫った最新の世論調査の結果からは、どうやら選挙戦も決着がついたかのように見える。ブラック・プロパガンダ合戦でノイノイ・アキノ候補が圧勝するのも無理は無い。なにしろ、ABS-CBNおよびGMAの2大メディアは最初からアキノ候補の最大の支援勢力なのだから。もう、ビリヤール候補とエストラーダ候補の連合がないとすれば、このままアキノ候補が次期大統領に納まりそうだ。一方で、極左(フィリピン共産党)から極右(国軍クーデター勢力)までを結集したビリヤール候補にも勝機が全く無いとも言えない。ブラック・プロパガンダで浮動票は逃したかもしれないが、その資金力により組織票は固めているのだから。そして、まことしやかに噂されている最大の番狂わせは「大統領選挙の延期」である。今回から選挙に電子投票が導入されるのだが、これの準備が遅延している。アロヨ大統領が選挙準備の遅延を理由に大統領選挙を延期し、自分がそのまま大統領として居座るのではないか?とも噂されている。

【参考】Aquino widens lead; veep race heats up
posted by philnews at 01:17 | Comment(1) | TrackBack(0) | フィリピン大統領選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年04月26日

事業仕分け第2弾

事業仕分けでは理化学研究所の研究職の妻がアシスタントをしているとして問題化された。

事業仕分け 理研、職員妻に月給50万円 枝野担当相「言い訳ばかり!」 

独立行政法人(独法)を対象にした「事業仕分け第2弾」の2日目となる26日。天下り企業の“丸抱え”や入札参加企業が1社だけの1社応札が問題となった「理化学研究所」(理研、埼玉県和光市)の不透明な体質に切り込み、結果、「事業縮減」を突きつけた。仕分けの中では、理研職員が妻をアシスタントにして、月給約50万円を理研が支払っていることが明らかになり、仕分け人側からは「お手盛りではないか」と厳しい追及があった。「全部言い訳ばかり。多額の税金を使っているという意識がなく、ガバナンス(管理)をお任せできない」。あいまいな説明を繰り返す理研側に対し、枝野幸男行政刷新担当相はこう声を荒らげた。(中略)一方で、研究職職員のアシスタント97人のうち、6人が研究職の配偶者を採用していることが指摘された。その中には、研究職の妻が週30時間勤務で、年収600万円を受給していたケースもあった。理研側はアシスタントの採用について、「複数の人間が選んでいる」と述べたが、仕分け人側から採用基準を明確にするように要望が出された。

理化学研究所の研究アシスタント97人のうち、6人が研究者の配偶者であったことが判明し、問題化された。しかし、普通に考えて、これは研究者と研究助手(アシスタント)が結婚したという職場結婚に過ぎない。実際、この6人のうち、結婚後に採用されたのはたったの2人。残りの4人は以前からアシスタントして働いていたことになる。

rainbow test tube.jpg
http://www.flickr.com/photos/giosp/

そもそも理系の研究者というのは、学生時代から研究に没頭し、異性との出会いの機会を犠牲にしてきた優秀な人たちだ。そうやって博士課程まで進んだような人しか理化学研究所には入れない。そうして、やっと出会えた女性が研究助手。めでたく結婚し、同じ職場で働く。どうしてこれが仕分け対象になるのだろう?

一方、この問題を追及している議員だが、平成14年の資料によると国会議員のうち147人が身内を秘書にしていた。その後、秘書給与法が改正され、配偶者の新規採用は禁止されたものの、身内の採用が禁止されたわけではない。今回の理化学研究所の件を問題化した枝野幸男行政刷新担当相の第一秘書は自分の妹だったし、彼女は現在、衆議院秘書協議会の民主党事務局長に就任している。こういうのを身内採用というのではないのか?

民主党は技術立国日本をささえる科学技術予算の削減に躍起となっているようだが、全く、何を考えているのだろう?事業仕分けという名の人民裁判で、信じられないことが進行しているように思う。
posted by philnews at 16:27 | Comment(0) | TrackBack(1) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

松野明美さん 熊本市議選当選

元マラソン選手の松野明美さんが熊本市議選挙で初当選した。
松野明美さん 熊本市議増員選で初当選 元マラソン選手
熊本市と旧熊本県植木町の合併に伴う同市議増員選(定数2)が25日投開票され、タレントで元マラソンランナーの松野明美(本名・前田明美)さん(41)が初当選した。松野さんは「約束通り、一生懸命全力で植木町のために頑張りたい」と喜びを語った。

 同市植木町の選挙事務所に当選の知らせが入ると、集まった支援者から大きな歓声がわき起こった。ダウン症の子を持つ母親としても知られる松野さんは興奮気味に「植木町を元気にしたい、障害のある子どもたちのためにできることをしたいと思って立候補した」と、これからの議員活動に意欲を見せた。

 松野さんは植木町出身。現役時代は熊本市の旧ニコニコドーに所属し、87年に全日本実業団対抗女子駅伝で12人抜きをして一躍注目された。88年ソウル五輪女子一万メートルで、当時の日本記録を更新。小さな体で懸命に走る姿は多くの人の共感を呼んだ。

 引退後の01年に結婚し、現在は同市植木町で夫と2人の子どもと4人で暮らす。子育て体験をつづった本の出版やテレビ出演、講演などタレント活動をしている。地元住民らから市議増員選への出馬を望む声が上がり「育った町に恩返ししたい」と出馬を決意した。(毎日新聞 2010年4月26日)


近年は国会議員選挙にタレントが続々立候補しており、次の参議院選挙にも民主党は桂きん枝を擁立する構えである。もちろん、桂きん枝は有名だというだけで、これまで政治的な経験があるわけでもなく、イメージからしても国会には全く似合わない人だというのは言うまでも無い。つまり、民主党の人気取りのためだけに擁立されたということが見えみえだ。

一方、松野明美さんが立候補し当選したのは市議選挙だった。国会と市議会の役割は大きく異なり、市議会の方が市民の日常生活に関わる施策に直接携わることができる。松野明美さんが市議会を選択したことをまずは高く評価したい。

次に、松野明美さんはマラソン引退後、結婚、出産したが、2008年になり次男が障害(ダウン症)を抱えていることを発表した。自らの息子が障害者である松野さんが社会について、そして政治について一番必要なことは何なのかをとことんまで考えたであろうことは想像に難くない。立候補にあたって松野さんは「本当は市議会議員になる気は全くなかったんです。今までは我が子のためだけにできることをしようと思っていました。でもそれじゃいけないんだ、と。タレント松野明美より、役割をもらった方が早くいろんなことを実行できるかな、と思って。健常者も障害者も一緒に育つような社会にしたい」と語っていた。

松野さんは障害者を抱える家庭の大変さを理解し、必要な施策を立案できる人だろう。また、国政を選ばず、市政を選んだという理由に、息子の世話を身近で続けたかったという理由があるに違いない。そうした、自分の足元から社会を変えていこうという姿勢にも強く共感できる。

結局、松野さんはマラソンではオリンピックに出場できなかったが、今後、政治のあるべき姿を体現できる人だと思う。住民に身近な市政の世界で、存分に活躍してほしい。

熊本市議補選 開票結果


当日の有権者数は2万4676人(男1万1624人、女1万3052人)。投票率は57・06%。

熊本市議補選開票結果(被選挙数2-5)選管最終

当 3,934 原口 亮志 53 無新
当 3,551 松野 明美 41 無新
  2,991 小佐井賀瑞宜47 無新
  2,602 池部 正信 63 無新
   858 池部 知子 35 無新
タグ:松野明美
posted by philnews at 07:56 | Comment(2) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年04月23日

新党乱立の時代



夏の参議院選挙を前に新党・政治団体が乱立し始めた。昨年(2009年)からだけ見ても

舛添新党(2010年:自民から分裂) 

日本創新党(2010年:首長新党)

大阪維新の会(2010年:橋下大阪府知事) 

たちあがれ日本(2010年:自民から分裂) 

みんなの党(2009年:自民から分裂)

となる。

90年代の新党乱立


90年代前半にも新党さきがけ、新生党、自由党などが自民党から分裂・結成され、93年には日本新党・細川護煕を首相とする非自民8党派連立内閣が誕生、55年体制の崩壊と言われた。その後、これら新党の多くは新進党・(旧)民主党に再編され、今の民主党となった。

そもそも自民党は思想や政策で一致した集団というよりは、政権の座にあることによる利害関係によって結びついていた政党だ。それが政権交代で共通の利益が失われたことにより結集力を失ったことが今回の新党乱立の直接の要因だろう。

一方の民主党も閣僚内でさえ政策や意見の一致が見られず、議員の出身政党も55年体制にまで遡れば自民党、社会党、民社党、社民連と様々である。つまり、こちらも思想や政策で一致しているわけではない。

Masuzoe.jpg
http://www.flickr.com/photos/the2belo/

政党間の違いがなくなった


55年体制とは自民党と社会党が2大政党として存在し、その他、民社党、共産党、公明党などの野党がひしめき合う中、自民党長期単独政権が成立していた時代である。当時は冷戦構造があったことから、思想・政策面での各党の違いや、各政党の支持団体は今よりはっきりしていた。それが、現在のように自民党と、旧自民党議員を中心とした民主党という2大政党が中心となったことにより、そもそもの政党間の思想・政策の違いははっきりとしなくなった。

最近は民主党の支持率が目に見えて下落していることから、次の選挙で民主党は確実に議席数を減らすだろう。かといって、自民党の支持率が回復しているわけでもない。また、浮動票の増加により、明確な支持団体を以前ほどには必要としなくなっているのかもしれない。とはいっても、今回の分裂・新党乱立は90年代と違い、どの新政党も極少数の議員によって構成されている。つまり、90年代のような大掛かりな変化は起きそうにもない。

めざすのは亀井氏のポジション?


各政党とも、現在の亀井・国民新党のように、少数政党でありながら重要な閣僚ポストを与えられ、好き放題に活動できる。そんなポジションを狙っているのかもしれない。
posted by philnews at 03:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年04月15日

債務残高の国際比較


債務残高の国際比較


下の図は日本の財政問題を説明するときによく用いられる、財務省のサイトに掲載されているグラフである。日本、アメリカ、カナダ、イタリア、ドイツ、フランス、イギリスの先進7カ国(G7)の債務残高の対GDP比率を表している。

債務残高の対GDP比(国際比較)
債務残高の対GDP比(国際比較)

この図を見ると、確かに日本の債務残高比率だけが異常に突出し、95年の80%台から一貫して上がり続け、2009年には180%を超えていることが理解できる。この図を見せられれば誰でも「日本は一刻も早く財政再建に着手しなくてはいけない」と思うことだろう。

しかし、日本の債務残高比率だけが一貫して上昇しているのは、何も日本だけが債務残高を増加させ続けているのが原因ではない。他のG7各国も一貫して債務残高を増加させているのだ。しかし、不思議なことに、債務残高の国際比較をGoogleで検索しても、それを示すグラフは一向に見つからない。仕方が無いので、筆者が作成してみた。なお、用いたデータはIMFのWorld Economic Outlook Databaseである。

Government Debt G7 comparison.jpg
債務残高の国際比較(実額)

データは各国の債務残高を1989年を基点(100)として20年間のデータをプロットしたものだが、赤線で示した日本は確かに債務残高を一貫して増加させてはいるものの、他国と比較して特別に突出しているわけでもない。フランスやドイツの債務残高の増加割合は日本よりも高い。

名目GDP成長の国際比較


ではなぜ、財務省のグラフでは日本の債務残高だけが突出して見えたのだろうか?種明かしをすると、最初のグラフは債務残高の対名目GDP比を示したものだからである。日本を除く他国はこの20年間、一貫して名目GDPの成長を達成していたのに対し、日本だけが成長していなかったのだ。

次のグラフはG7の名目GDP成長を比較したものである。同じく1989年を基点(100)として、20年間のデータをプロットした。この20年間で日本を除く全てのG7加盟国が軒並み2倍から3倍のGDP成長を見せている中で、日本のグラフだけほぼ水平を這っている。なんたるざまだ・・・・・

GDP G7.jpg
名目GDP成長の国際比較

財政問題の元凶はデフレ


またここで種明かしをすると、日本の名目GDPだけ成長していない原因はデフレにある。下のグラフは先進7カ国の1989年から2009年までの消費者物価指数を2000年を基準点(100)として示したものである。G7の中で、水色で示した日本だけがほぼ水平、いや、むしろ下落していることが確認できるだろう。

消費者物価指数の推移(国際比較)
消費者物価指数の推移(国際比較)

この20年間、日本、アメリカ、イギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、フランスの先進7カ国(G7)の中で日本だけがデフレで停滞し、他の国々はインフレを伴った経済成長を達成していたのだ。よく、デフレの原因として中国からの安い製品の輸入を挙げる人たちがいるが、中国が原因ならば、日本を除く他のG7各国がインフレであったことの説明がつかない。つまり、この20年間のデフレは日本固有の問題なのだ。そして、このデフレこそが日本の債務残高の対GDP比を突出させた元凶だったのである。

財政問題の解決方法


債務が長期的に見て持続可能であるか、それとも財政破綻するかは債務の(名目)利子率と名目GDPの成長率で決まる。なぜなら、債務(国債)は利子返済ができている限りにおいては破綻しないし、利子返済ができるかどうかは歳入によって左右されるからだ。そして歳入(税収)は名目GDPに比例して増加するので、名目GDPの成長率が利子率よりも大きければ破綻しえないのである(ドーマーの命題)。

財政問題の議論では、すぐに「増税」と「緊縮財政」により歳入を増やし、歳出を減らすことが解決策だと説明される。しかし、以上の議論により、それが全くのデタラメであることが示されただろう。デフレ不況下の日本で増税・緊縮財政などやれば、経済はますます縮小し、デフレはより深刻化、名目GDPがマイナス成長すれば増税を持ってしても国債の利子返済が可能な歳入が得られなくなり、本当の財政破綻へと突き進むことになることは目に見えている。

財政再建のために日本が一刻も早くやらなくてはいけないことは、まず、デフレの克服である。デフレを克服しない限り、名目GDPの成長は達成されない。そしてそれは、日本銀行によるインフレ目標を伴った金融緩和(リフレ政策)なしには達成されないのだ。

【関連記事】
日本経済 過去20年の推移
日本とフィリピンのGDP推移
【出典】
世界経済のネタ帳
International Monetary Fund
財務省
posted by philnews at 03:06 | Comment(4) | TrackBack(2) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。