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2010年04月13日

アロヨ大統領 支持率史上最低

4月12日に発表されたSocial Weather Station(SWS)による最新の大統領選挙世論調査では自由党のノイノイ・アキノ候補が37%、国民党のビリヤール候補が29%と、8ポイント差で引き続きアキノ候補がリードしている。

大統領選挙 世論調査


ベニグノ・アキノ上院議員(Benigno Aquino III) 37%
マニュエル・ビリヤールJr上院議員 (Manuel Villar Jr.)29%
ジョセフ・エストラーダ元大統領 (Joseph Estrada )17%
ギルバート・テオドロJr前国防相  (Gilberto Teodoro, Jr.)8% 

1月まで順調に支持率を上げてきたビリヤール候補だが、ここ数ヶ月は下落に転じる一方、アキノ候補の支持率は下落傾向も止まり、安定した支持を持続している。ビリヤール候補の支持率低下の原因は前回もお伝えしたように情報源のはっきりしないブラック・プロパガンダによるものだが、その中でも最も効果的だったのが「ビリヤール候補はアロヨ政権の隠れた後継者である」というものだった。

そもそもが、アロヨ政権の正当後継者として指名された与党Lakas-Kampi-Christian Muslim Democrats (CMD)のテオドロ候補は選挙戦序盤から1桁台の支持率に留まり、支持率第3位のエストラーダ候補にさえ差を空けられていたが、ここへきて「アロヨ大統領の本当の後継者はビリヤール候補」という一言がビリヤール陣営を襲った。一方で、与党の党首を選挙戦の最中に辞任し、相対的にアロヨ大統領の影響力から遠ざかったと見られるテオロド候補の支持率がかすかにではあるが上昇していることも確認できる。

philippine election poll april 2010.jpg

Villar gains slightly in poll; Aquino still up

アロヨ大統領 支持率史上最低


しかし「アロヨ大統領の後継者である」「アロヨ大領領から支持されている」という噂が立つだけで支持率を大幅に下げるというのも物凄いが、これを裏付ける世論調査がある。

SWSが4月12日に発表した世論調査で、アロヨ大統領の支持率は16%、不支持率は69%となり、支持率から不支持率を引いた真の支持率は-53%と、過去最大となった。

これをアキノ政権以降の歴代大統領の真の支持率と比較すると、アキノ、ラモス、エストラーダとどの政権の支持率もマイナスに転落したことはないことから、圧倒的な差を付けてアロヨ大統領の不人気振りが示されたことになる。

フィリピン歴代政権支持率
philippine president supporting rate.gif

アロヨ政権は2001年のEDSA2でエストラーダ大統領を退陣させて成立したが、そのときでさえ史上最低の支持率であった。その後、アロヨ大統領は不正選挙と噂された2004年の大統領選挙で再選されたものの、選挙直後を除いて真の支持率がプラスとなったことが一度もないという稀に見る不人気な政権だった。

Social Weather Station
posted by philnews at 05:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピン大統領選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年04月04日

コーリー・アキノの活躍を描いた「A Dangerous Life」

この時期にこのドラマ??

A Dangerous Life.jpg
A Dangerous Life

コラソン・アキノ元大統領の活躍を描いたドラマ「A Dangerous Life」を見た。これは1983年に起きたベニグノ・アキノJr(Benigno Aquino, Jr.)の暗殺から 1986年のEDSA革命(2月22日-26日)によりマルコス元大統領が追放されるまでを描いた6時間ドラマで、1988年にオーストラリアのテレビ局によって制作されたものだ。

フィリピンでは、ホーリーウィークはテレビ局のスタッフの多くも休暇なので、映画とキリスト教関係の番組ばかりになるのだが、このドラマは木曜から土曜まで3夜連続で放映された。もちろん、コーリー・アキノの息子であり、大統領候補であるノイノイ・アキノを支援するために放送されたわけだが、企業スポンサーは一切つけていないらしく、CMは全てABS-CBNの番組宣伝だけだった。まさにABS-CBN(ロペス財閥)挙げての選挙活動である。

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コラソン・アキノ大統領

外国人の目から見た映画らしく、まず、コラソン・アキノの鼻が不自然だ。鼻を低く見せようとしたためだろう、何か異様なメイクを施している。対するイメルダ・マルコスは美人に描かれすぎている。60年代ならいざしらず、80年代後半のイメルダはすでに60近いのに。まあ、そうした部分はさておいて、それぞれの役者はできるだけ実物に似た俳優を用いているようで、特に有名な俳優を配しているわけではない。

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マルコス大統領

話自体はできるだけ史実を忠実に再現しているようだった。そこで改めて感じたのだが、EDSA革命(ピープルズ・パワー)が起きたとき、コラソン・アキノは何もしていない。EDSA革命の主役はエンリレ国防相であり、ラモス参謀副長であり、ホナサン大佐を中心とする国軍改革派(RAM)だった。このマルコス大統領に叛旗を翻したエンリレ達が、自分達を守るため、シン枢機卿の協力を得てEDSA大通りを200万人とも言われる民衆で埋め尽くしたのであり、国軍の中からも反乱勢力への同調者が現れ、マルコスが劣勢に追い込まれていったのだ。このとき、アキノ自身はセブ島にいて、ただ祈るばかりだった。アキノがマニラに現れたのは大勢が決した後(2月24日)だ。そして25日、コラソン・アキノは大統領就任式を執り行い、翌26日にマルコスは国外へと脱出する。

edsa 1986.jpg
EDSA革命(1986)

このドラマの製作が88年なので、すでに政権交代後の複数回に渡る国軍改革派(RAM)によるクーデターやエンリレ国防相のアキノ政権からの離脱をも観察した上で脚本が作られたのだろう。なぜなら、この映画を見る限り、EDSA革命の主役はエンリレであり、RAMであり、アキノ大統領自身は何もしていない。にも関わらず、アキノ政権ではエンリレ国防相は望んでいたはずの首相には任命されず、RAMの最大の敵である共産主義者には寛容な政策がとられたのだから。ドラマの中で描かれたエンリレの面白くなさそうな表情が、その後のできごとの伏線となっている。

このように、筆者はこのドラマをエンリレを主役として見てしまった。そしてアキノ元大統領の優柔不断さを見取ってしまった。83年から86年までの一連の事態がこのように描かれたのはまさに、製作者が外国人だったからだろう。そうした意味で、このドラマ「A Dangerous Life」はどのていど選挙活動として有効だったのだろうか?果たして、有権者であるフィリピン国民はこのドラマをどう見たのだろうか?
posted by philnews at 05:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピン大統領選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月30日

フィリピン大統領選挙 世論調査(3月)

5月10日に行われるフィリピン大統領選挙に関して、3月19日から22日にかけてSWS(Social Weather Station)によって行われた最新の世論調査によると、アキノ候補の支持率が37%(前回36%)、ビリヤール候補の支持率が28%(前回34%)となり、9%の差がついた。

フィリピン大統領選挙 世論調査


前回の世論調査(2月末)ではアキノ候補とビリヤール候補の支持率が2%の差と拮抗していたことから考えると、アキノ派による激しい巻き返しが起きているといえる。これは全ての支持層でビリヤール候補への支持率が大きく下落したことに起因する。現在、フィリピンでは台頭してきたビリヤール人気に対して激しいブラック・プロパガンダが行われており、アキノ陣営はビリヤール人気を如何にして挫くかに躍起だ。

ビリヤール陣営の選挙戦略


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マニュエル・ビリヤールJr上院議員 (Manuel Villar Jr.)

一方、ビリヤール陣営は、先回までに説明したように、マルコス元大統領の息子ボンボン・マルコス、共産主義政党バヤンムナのオカンポ候補、さらには国軍反乱勢力の首謀者として軍法会議に掛けられているフィリピン海兵隊アリエル・ケルビン大佐(Ariel Querubin)を上院統一候補として極右から極左までを抱き込んだ選挙活動を行うとともに、国民的英雄であるボクシング世界チャンピオン(7冠)のマニー・パッキャオ(Manny Pacquiao)とも連合を組み、現政権に対する「真の反対派」(Tunay na Opposition)として、無尽蔵の資金力にものを言わせテレビCMを打っている。

アキノ陣営の選挙戦略


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ベニグノ・アキノ上院議員(Benigno Aquino III)

一方、アキノ候補は、上院議員時代から影が薄い存在だったものの、昨年8月のコラソン・アキノ元大統領の逝去によって突然担ぎ出された存在だ。そのため、アキノ候補自体のキャラクターは薄く、唯一「清廉潔白な候補」であることを売りすると同時に、出身であるコファンコ財閥と、フィリピン最大のテレビ局ABS-CBNを抱えるロペス財閥の全面的支持を得て選挙を戦っている。最近のビリヤール候補の急伸に危機感を覚えたか、ABS-CBNではこのホーリーウィークに3夜連続でアキノ元大統領の活躍にスポットを当てたテレビ番組が放送される予定だ。

候補者別支持率


ベニグノ・アキノ上院議員(Benigno Aquino III) 37%
マニュエル・ビリヤールJr上院議員 (Manuel Villar Jr.) 28%
ジョセフ・エストラーダ元大統領 (Joseph Estrada ) 19%
ギルバート・テオドロJr前国防相  (Gilberto Teodoro, Jr.) 6% 

今後の行方


アキノ候補は見るからに良家のご子息であり、強いカリスマやリーダーシップは持ち合わせていない。しかし、清廉潔白、民主主義、平和の象徴として落ち着いた雰囲気を持っている。フィリピンの財閥系有力層や知識人階層、そして汚職に飽き飽きした大衆層はアキノ候補を支持している。一方、ビリヤール候補は貧困地域出身でありながら一代で財を成したやり手である。閉塞したフィリピン社会の中で「何かやってくれる」という変化へ向けた期待を抱かせる候補ではある。但し、その手腕をフィリピンの発展に活かすよりは、自らの資産拡大へ用いるのではないかとの不安も拭い去れない。その上、ビリヤール候補とエストラーダ候補のイメージおよび支持層は重なっている。今回の世論調査でのエストラーダ候補の支持率は19%と再び上昇しており、ビリヤール候補とエストラーダ候補の支持率を足せば47%とダントツになる。すでに、ビリヤール候補の側からエストラーダ候補へ協力要請が行われているとの噂もあるが、あと、1ヶ月少しとなった選挙戦。まだ、誰が勝利するのかはわからない。

【参考】Aquino leads Villar by 9 pts in new poll
posted by philnews at 20:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピン大統領選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年03月19日

ノイノイとビリヤールが拮抗 フィリピン大統領選挙

フィリピン大統領選挙についてSWS(Social Weather Station) が3月11日に発表した世論調査(2月24-28日実施)ではベニグノ・アキノ3世上院議員(36%)とマニュエル・ビリヤールJr上院議員(34%)の支持率が拮抗した。アキノ候補は先月と比べて6%支持率を減らし、ビリアール候補は1%支持率を減らした。一方、エストラーダ候補とテオドロ候補は2%づつ支持率を増やした。この結果、アキノ候補とビリアール候補の支持率の差は先月の7%から2%に縮まり、誤差の範囲に収まった。

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ノイノイ・アキノVSビリヤール

各候補者の支持率は以下の通り。

候補者別支持率


ベニグノ・アキノ上院議員(Benigno Aquino III) 36%
マニュエル・ビリヤールJr上院議員 (Manuel Villar Jr.)34%
ジョセフ・エストラーダ元大統領 (Joseph Estrada )15%
ギルバート・テオドロJr前国防相 (Gilberto Teodoro, Jr.)6% 
エドゥアルド・ビリアヌエバ(Eduardo Villanueva )3%
リチャード・ゴードン( Richard Gordon )2%
ベテリアーノ・アコスタ(Vetellano Acosta )0.4%
ジーザス・ニカノール・ペルラス(Jesus Nicanor Perlas) 0.2%
ジョン・カルロス・デ・ロス・レイエス(John Carlos De Los Reyes) 0.1%
ジャンビー・マドリガル(Jamby Madrigal) 0.1%

地方別支持率


地方別の支持率ではルソン地方を除いてアキノ候補の支持が高く、ビリアール候補はルソン地方での支持率が高かった。また、メトロマニラではエストラーダ候補が健闘している。

メトロマニラ:アキノ42%、エストラーダ23%、ビリヤール 20%、テオドロ4%
ルソン:ビリヤール37%、アキノ33%、 エストラーダ 13%、テオドロ 6%
ビサヤ:アキノ 42%、ビリヤール37%、エストラーダ8%、テオドロ 6%
ミンダナオ:アキノ35%、 ビリヤール 33%、エストラーダ20%、テオドロ6%

社会階層別支持率


社会階層別の支持率では、人口の10%を占める上・中流階層(Class ABC)と人口の15%を占める最貧困層でビリヤール候補の支持率がトップとなったものの、人口の75%を占める大衆層(Class D)ではアキノ候補が引き続きトップだった。

上・中流階層
ビリヤール 33%
アキノ 30%
エストラーダ 14%
テオドロ 7%

大衆層
アキノ 38%
ビリヤール 34%
エストラーダ 13%
テオドロ 6%

最貧困層
ビリヤール 34%
アキノ 32%
エストラーダ 21%
テオドロ 5%

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12月から2月までの候補者別支持率の推移

SWSによるフィリピン大統領選挙の世論調査では、昨年12月初旬に行われた調査時にはアキノ候補が46%、ビリヤール候補が27%、エストラーダ候補が16%と、アキノ候補のリードが鮮明であったものの、時間を経る毎にアキノ候補の支持率が下がり、ビリヤール候補の支持率が上がってきたという傾向がある。

これはアキノ候補の人気は昨年8月のコラソン・アキノ元大統領の逝去により突然沸き起こったものであったため、時間とともにその熱が醒めてきたこと、および、ビリヤール候補の資金力にモノを言わせた選挙戦略が浸透してきたことが主たる要因だろう。ビリヤール候補は左は共産主義政党・バヤンムナ(Bayan Muna)から、右はマルコス元大統領の息子・ボンボン・マルコスまで巻き込み、反アロヨの旗印を鮮明にして選挙戦を戦っている。

5月10日の投票日まで2ヶ月を切った今、ここから途中下車する候補の票を誰が獲得するかで態勢は決するものと思われる。

【出典】Social Weather Station
posted by philnews at 14:11 | Comment(1) | TrackBack(1) | フィリピン大統領選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年01月17日

フィリピン共産党(CPP)・新人民軍(NPA)

国軍の情報によると、P20000-P500000が今年の相場である。

これは選挙期間中、フィリピン共産党・新人民軍(NPA)からのハラスメントを受けない保障として、新人民軍へ支払う「選挙許可料」のことだ。

新人民軍と革命税


新人民軍が選挙許可料を徴収することは今回が初めてではない。これまでの選挙でも行われていたし、全国の企業、そして小さなビジネスからもずっと「革命税」を徴収してきた。

新人民軍はアンパトゥアン一族のような重火器は所持していないかもしれないが、より多くの兵力を抱え、全国に展開している国内最大の非合法武装勢力である。新人民軍はアンパトゥアンのような過激な選挙暴力は通常行わないものの、候補者からの革命税の徴収や、脅迫を行う。

ソルソゴン州では副市長への立候補のためにはP20000、市議会議員及び州議会議員にはP30000、副知事にはP50000、そして知事および下院議員への立候補にはP500000 の「選挙許可料」の支払いが新人民軍により要求されている。軍による武力介入は効果を上げておらず、新人民軍による反乱と革命税徴収は続いている。

政府の人権委員会(Commission on Human Rights:CHR)によりビコール地方で行われた調査によると、2007年の中間選挙では遠隔地にある村落住民の投票を新人民軍が妨害し、レガスピ市だけでも少なくとも20000人が投票できなかったと報告されている。
【出典】The biggest illegal armed group

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新人民軍(NPA)


新人民軍(New People’s Army:NPA)はフィリピン共産党(Communist Party of the Philippines :CPP)の軍事部門。ホセ・マリア・シソン(Jose Maria Sison)を指導者として1969年に結成された。マルコス政権下ではマルコス独裁政権への対抗勢力として一定の大衆的支持を獲得し、最大時25800人の兵士を抱える反政府武装勢力として成長したが、86年の民衆革命(ピープルズ・パワー、EDSA革命)へは参加せず、あくまでも武力革命を目指したためアキノ政権成立以降は大衆的支持を喪失。現在は兵力7000人程度まで衰退していると考えられている。

現在も政府との衝突を繰り返す一方、「革命税」名目で企業・小規模事業者から金品を徴収、また、支払いを拒んだ企業への施設焼き討ちや、政府協力者、対立セクト指導者の暗殺等が後を絶たない。革命税は徴収するものの、政府と違い「行政サービス」は提供しないため、住民にとっての利益はない。また、アロヨ政権下では国軍による新人民軍掃討作戦が行われ、新人民軍でないものも巻き込んだ「超法規的暗殺」が横行したため、国際的な問題となっている。
posted by philnews at 23:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | フィリピン大統領選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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